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2010年05月のアーカイブ
![]() | ビジネスマンのためのクオリティ・リーディング (創元社ビジネス) 創元社 2009-10-16 売り上げランキング : 176379 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
良書です。タイトルだけみると「いかにも」なビジネス書を思わせますが、なかなかどうして、読みごたえのある読書本でした。
基本的な姿勢が「少数ながらも厳選した本を読む」、つまり精読である点からして好感がもてる。速読・多読によるアウトプットばかりを強調する昨今流行りの読書術とは対極にあります。
むろんのこと、本書の目的もアウトプット――いわゆる知的生産にあるのは間違いありません。これは「ビジネスマンのための」というタイトルである以上当然でしょう。しかし、読書そのものを目的とする場合でも本書は示唆に富みます。
特に、読書後のフォローについて述べた第5章は読みどころ。その眼目は読書から得た知見を頭に定着させるためのノート術にあります。帯にまとめられているので引用しますと
STEP1:心を動かされた文章や言葉に線や印をつける
STEP2:書き写す文章を10箇所ほど選ぶ
STEP3:魅力的な見出しをつけてノートに書き写す
STEP4:ノートを毎日読み返す
と、なりますね。いわば「引用ノート」の作成です。
実際、この方法論は有効です。
私自身も読書ノートを付けていますが、記憶への定着度が段違いですね。ノートを読み返して新しい気付きを得ることもしばしば。読んでそれだけだった時とは雲泥の差です。私のやり方は以下の通り。
1:気になった記述があったページの端を折る。稀覯書や高価な本の場合は付箋を貼る。
2:重要だと感じた記述を鉛筆でマークする。
3:読了後、マークした文章を再確認し、必要だと感じたものをpomeraで書き写す。ファイル名は「日付+書名」とする(例:100529クオリティ・リーディング)。
4:「3」のファイルを印刷し、テーマごとに分けてノートに張り付けておく。
5:ノートを何度でも読み返す
見ての通り、本書で提案されているノート術と基本的に同じですね。
違いはpomeraを使っていることくらいでしょうか。本来は手で書き写すべきなのでしょうが、私はあえてpomeraに頼っています。これはなぜかといえば、その方が楽だからです。
ノート作成が有効なのは間違いありません。しかし、実際にやってみるとわかりますが、書き写しというのはかなりの労力を要します。読むスピード>>>書き写すスピード、のため、どうしても苛立ってしまうのですね。
この点、pomeraは優秀です。レスポンスは軽快ですし、キーボードを打つ方が手書きより速いのは自明の理でしょう。pomeraは反射型の液晶を採用しているので目も疲れません。何より、テキスト入力に徳化したデバイスだというのが大きい。一度起動すれば、あとは文章を書くしかない。こんな状況だと、意外に引用が進むのですよ。人間というのは面倒臭いことを徹頭徹尾嫌う生き物ですから、心理的なバリアを低くするのがなによりも重要です。
手書きするにせよ、入力するにせよ、引用ノートの有用性は一度実践すると手放せないレベルです。この週末にでも試してみることをお勧めします。
ノート術以外にも、「何に興味があるか知るために本棚を眺める」「本の中で紹介されている本に注意を払う」「時間に応じて読む本の種類を変える」「本の種類に応じて読み方を変える」など、具体的なアドバイスが満載の本書、読書好きな方なら読んで損はありません。お手元にどうぞ。
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これはいい。かなりの良書です。
タイトルの通り、二十世紀中国学の展開を追った概説書ですね。主たる対象は二十世紀前半。殷王朝の存在が明らかになったこと、および敦煌文献の発見をきっかけに、世界各地で中国学が大躍進した時代です。
本書は「中国の中国学」「日本の中国学」「欧米の中国学」の三章を柱としています。それぞれについて二十世紀に到るまでの中国研究史(日本では「漢学」と呼ばれていました)、重要な研究者(巻末に人物小伝あり)、政治的背景が研究に与えた影響(例えば中国では辛亥革命により伝統的な四書五経教育が大打撃を受けています)などなど、広範な目配りがされており読みやすい。大学の授業を元にしているためか、バランスのとれた叙述がなされています。200ページに満たないやや薄手の一冊のため、手軽に読めるのも嬉しいところ。
薄手とはいえ中身は濃いです。索引も完備されていますし、記述も無味乾燥一辺倒ではない。中国学というのは細部が魅力的なのですが、本書も例外ではありません。
例えば敦煌文献をフランスに持ち帰った研究者、ポール・ペリオ。敦煌文献を短期間に精選し逸品ばかりを選び出した人物ですが、彼が文献学者を志していたことはあまり知られていません。文献収集への熱意と、類まれな語学力を併せ持った彼だったからこそ、敦煌文献の真価を見抜くことが出来たともいえます。そのあたりについてきっちり書かれているのも読みどころ。なお、ペリオについては、黌門客さんによるポール・ペリオの無断(?)引用もご参照ください。
個人的には、1314年、イタリアのキリスト教宣教師オドリコ・ダ・ボルディノーネが三年間中国に留まったエピソードが面白かったですね。彼の著書『オドリコの東方奇聞』(『オドリコの紀行』とも)には、纏足や鵜飼などが記録されているとのこと。読んでみたい。
かように、中国学を知るうえで有用、読み物としても面白いという一冊です。お値段も手頃ですし、是非どうぞ。
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「本の本」を読むのは楽しいものです。一口に「本の本」といっても色々ありまして、いわゆる書評本、網羅に徹したブックガイド、推薦を第一義とした紹介文、「自分がどのようにその本を読んだか」を押し出した読書本と様々。「狐」こと故・山村修による書評集などは、書評そのものが読む喜びを与えてくれます。「本の本」は百花繚乱、玉石混淆のジャンルだといえましょう。
その中にあって、本書『人間を守る読書』は出色の一冊です。
取り上げられた本は多彩です。エンターテイメント方面は手薄ですが、『自省録』のような古典から、『ロリータ』の新訳 まで目配りは広い。単にブックガイドとしても優秀ですね。
ですが、本書の読みどころは、めぐる思索に重きが置かれていることにあります。著者が自分の立場を前に押し出しているとも言えますね。これはデリダをめぐる体験(pp. 95- 100)などを読めば明瞭でしょう。
著者が言うように、書物とは「何かを伝えようとする意志」です。ならば読者はその意志を受け取る者であり、その先にはまた新たな体験と意志とが構築されましょう。すなわち読書とはコミュニケーションなのです。単に情報を受け取るだけの作業ではありません。
ならば、本書を読むという行為もまた、一つの体験に他ならないと言えましょう。
著者は「後記」で書きます。
書物を手にとって読むというのは、人間のあらゆる知的活動のうちにあって、もっとも基本的なものである。インターネット時代に書物などもう古いという人がいたら、わたしは尋ねてみたい。いったい牢獄にパソコンを持ち込むことができるかと。電気が断ち切られてしまった難民キャンプで、キーボードが打てるのかと(p. 314)。
この指摘はまったく正しい。
私は電子書籍を全面的に支持しますが、最後の拠り所となるのはやはり本、さらには記憶だと確信しています。記憶さえあれば、読書という魅惑的な体験を享受することは可能なのです。
アルベルト・マングェルは「暗く、何の希望も慈悲もない場所で、求めに応じては、頭の中にあるウェルギリウスやエピリデスの書物を広げ、古典作家が残した言葉を、書物を持たぬ人々に向かって朗読する老人」について記していますが(『読書の歴史―あるいは読者の歴史』p. 81)、これなどはまさにその実例でしょう。紙の形をした書物がなくとも、「何かを伝えようとする意志」があり、その意志を受け取りまた発信する読み手がいる限り、読書という行為は成立するのです。
本書を手にとることで、読書をめぐる思索と体験とに誘われることになるでしょう。
お勧めです。
先の日曜日はマッド会でした。
やりたい放題には定評のある我々マッド軍団ですが、今回は飛び抜けておりました。GF団さんや天日録さんもレポートを書いていらっしゃいますが、いや、ひどかった。本当にひどかった。地獄の釜の蓋が開いたといっても過言ではない。
この一枚で全てを察していただきたく(クリックで拡大)。子連れ狼と花組対戦コラムスとらんま1/2とToHeartいうカオス空間ですよ。ボードゲーム会場のホワイトボードだと誰が信じようか。
事の起こりは二週間ほど前、ヒライさんらがTwitterでTo Heartについてつぶやいたことでした。
To Heartの話題が出た瞬間、リアルタイム世代の男たちがスパルタ人のように一斉蜂起。瞬く間にタイムラインをTo Heartの話題で埋め尽くし、結果、2010年にもなってマッド軍団例会兼To Heart上映会が開催されることに相成ったわけであります。
ちなみに映像ソースは田中天さん提供によるアニメ版To Heart(VHS標準録画)。Feeling Heartが流れだすやいなや野太い声で合唱をはじめる男たち。どうしてこうなった(ヒライさんに至っては倒凶十将伝まで歌っておった)。

我らが浩之ちゃん。
浩之ちゃんが見事な手口でヒロインを篭絡する度に絶賛の声があがっておりました。
あ、ちゃんとゲームはやりましたよ。

定番、バルバロッサをプレイ中の一こま。
画面奥の赤くて細長いものはユムシです(製作:K(仮称)さん)。そして緑色の粘土細工、向かって左側は奥歯。正解者はさすがにいなかった。無理すぎます。トモユさんには猛省していただきたい。
相変わらず実に楽しい時間でした。次回も楽しみだ。
なお、私は先輩派ですのでそこはよろしく。
<関連リンク>
・To Hearters:イノウエさんによる、マッド会終了後のTo Heart関連つぶやきまとめ。しみじみとひどい。こうでなくては。
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一言でいうと傑作です。
ゾンビを真っ正面から扱った小説としてはベスト級でしょう。金字塔と言っていい。これほどまでに面白く、ページをめくる手が止まらない小説を読んだのは久々でした。
発売からこのかた、一部界隈で大人気のようですが当然ですね。私の周囲をみている限りでは『1Q84』以上のベストセラーに思えてくるほどです(私も所属するボードゲーム集団「戦慄のマッド軍団」においては読書率七割を超えています)。
ゾンビと人類の一大決戦たる「世界Z戦争」、その戦争を生き延びた人々へのインタビューという形式がいい。北極圏からアフリカまで、ホワイトハウスの元幹部から両親に連れられて北極圏に疎開した子供まで、舞台も人物も、彼らの置かれた状況も多種多様です。登場人物にしても、最前線で血反吐を吐きながらゾンビ相手に死闘を繰り広げる兵士から、パニックを利用して巨万の富を築いた商売人まで、性別国籍職業倫理観がまったく違う人々が次から次へと出てきます。この手法が世界規模の戦争という設定にリアリティと深みを与えていますね。
ゾンビ出現から戦争終結まで、どのエピソードをとっても読みごたえがあるのですが、中でも日本編は飛ばしております。盲目の庭師・朝永先生の超人ぶりは必読。あの人だけ明らかに世界観が違う。ブレインデッドの神父もびっくりのゾンビ無双でしたよ。朝永率いる「盾の会」だけで一本作れそうです。
各国の事情が書き込まれているのも読みどころかと。イスラエルはゾンビの出現にいち早く対応したのですが、その理由が1973年の大失策(*1)にあったというのは納得です。また、キューバの変化には思わずうなった。
繰り返しますが、傑作です。この内容とボリューム(500ぺージ近いです)で2000円はお買い得でしょう。ゾンビ好きは無論のこと、小説を愛する方も必読です。五つ星のお勧め。
*1:第四次中東戦争のこと。当時、シリアとエジプトはイスラエルへの攻撃を計画していた。イスラエルの諜報機関モサドはこの事実を掴み報告していたが、時の政府はそれを軽視。結果、イスラエルはかつてない消耗線を強いられ、建国以来の不敗神話も崩壊した。
<あわせて読みたい>
・ウェットワーク:ロメロ三部作の設定を踏襲し、さらにスケールアップした終末もの。主人公がプロフェッショナルな工作員なので冒険小説的な醍醐味もあり。
・死霊たちの宴:ゾンビをテーマにしたアンソロジー。上記『ウェットワーク』の原型となった短編も収録されています。
・ゾンビ映画大事典:ゾンビ映画データベースの最高峰。質量ともにこれを超えるものは当分現れないでしょう。2003年までのゾンビ映画を体系的に網羅しています。必携。
・中東戦争全史:中東戦争の歴史と背景を手堅くまとめた好著。中東戦争入門として絶好の一冊です。「世界Z戦争」におけるイスラエルの対応を理解するためにどうぞ。
自分で参照する用もかねて自炊まとめエントリです。
ディープワンでも出来る自炊まとめ
・本の準備と解体
・スキャン
・ファイルの変換と読書
さて自炊環境が整ってしばし、あれこれと試してみたのですが、やはり趣味的な作業であるという印象は禁じ得ません。仕事の書類をScanSnapに読み込ませるならともかく「裁断→スキャン→ファイル変換→リーダーやPCに転送」という手順を踏まねばならないのはやはり一苦労。慣れもあるでしょうが、一冊あたり数分というわけにはいきません。
とはいえ、この作業が魅力なのもまた確か。山積みの本を一度に相手したらそれはもう苦行でしょうが、合間合間に少しずつデータ化していくのは意外と楽しいものです。
個人的に意外な収穫だったのが、本の分類が出来たこと。
分類といっても十進分類やジャンル分けではなく、「自分にとってこの本はどういう位置づけか」です。
具体的には
1:愛読書系
2:資料系
3:実用書系
4:娯楽系
5:賞味期限系
の五項目に分類出来たのですね。
このうち自炊に適するのは3、4、5です。
「愛読書系」については言わずもがな。折に触れて手にとり、何度も読む本たちです。私なら『砂漠の修道院』、『黒死館殺人事件』、『世界大博物図鑑』など。
これらは定位置に収まっているような本ばかりですから、自炊する理由も必要性もありません。小口の手垢すら愛しい。どうしても自炊するならもう一冊買います(『世界大博物図鑑』はeブックになっているので買うならそちらを買います)。
「資料系」も言葉の通り。歴史、神秘学、生物学、文化史、科学史etcetc……ジャンルは様々ですが、専門性の高い本が主に位置しましょう。今、私の本棚に並んでいる中では『星界の音楽 神話からアヴァンギャルドまで―音楽の霊的次元』、『迷宮―都市・巡礼・祝祭・洞窟 迷宮的なるものの解読』、『政府ファイルUFO全事件』あたりでしょうか。『怪奇幻想ミステリ150選』のような良質なブックガイドや『スピノザの世界』等の解説書もここに入るかと。
自炊すれば便利は便利なのでしょうが、可読性や扱いやすさで本媒体に一日の長があります。アナログ検索(要するにぱらぱらめくる)も簡単に出来ますし。
このタイプの本は分厚く堅牢なことが多く、その意味でも自炊には向きません。出来れば本媒体と電子媒体で一冊ずつ持ちたいところ。
「実用書系」は多種多様です。『ハリウッド脚本術』のような指南書、話題を呼んでいる『夢をかなえるツイッター』などのハウツーもの、いわゆるビジネス書や自己啓発書、つまりは有用性が第一義の本ですね。
このタイプの本は、自炊した方が便利と思われます(もちろん物によりますが)。必要な項目を必要な時に読む、といった使い方が多いでしょうしね。自分にとって有益なページだけをまとめておいてもいいかもしれません。
小説やコミックの多くは「娯楽系」になります。これはもう説明不要でしょう。部屋で、電車で、トイレで、ただただ楽しむために読みふける、正に読書の王道といえる素晴らしき仲間たち。
「娯楽系」と自炊の相性は抜群です。電子ブックリーダーにお気に入りの小説やコミックを詰め込み、あれこれと読むのは楽しいですよ。Kindleユーザーの方は青空キンドルさんもご活用ください。
「賞味期限系」。雑誌や一部の新書など、鮮度が命な一群ですね。ある意味自炊が本領を発揮する分野です。全部が全部必要でなくとも、妖怪ムックに付いていた妖怪地図、新書の巻末にあったブックガイド、PC雑誌で気になった新製品のレビューなど、ピンとくる項目があればしめたもの、スキャナでどんどん取り込んでしまいましょう。溜め込むうちに自分の興味や関心が明らかになってきたりもします。
他に「辞書系」「事典系」「鑑賞系(画集や写真集)」などがありますが、省略。いずれも自炊するメリットよりデメリットの方が大きいです。大人しく既存の書籍媒体か電子媒体(あるいは両方)を使いましょう。
当然ですが、あらゆる本を一つの分類項目に押しこむのは無理があります。多くの場合、複数の属性を持つことになりましょうし(例えば「Truth In Fantasy」シリーズは「資料系」かつ「実用系」です)、この分類が適さない本も山とあります。自炊するかどうかは、一冊一冊と向きあって自分で判断するしかありません。その点だけはご留意ください。
ディープワンでも出来る自炊、いよいよ終盤。ファイル形式の変換と読書です。ここまで来ればあと一歩ですね。
STEP4:ファイル形式の変換
裁断もした。スキャンもした。さて読書……といきたいところですが、その前に下準備があります。
PCで読む、電子ブックリーダー(やiPad)で読む、それぞれについて解説しましょう。
(A)PCで読む場合
こちらは簡単至極。スキャンした画像をビューアーで開けばそれでお終いです。jpgの場合zipで圧縮すると便利ですね。
画像ビューアーとしては見開きにも対応したLeeyesが一押しです。pdfならPDF-XChange Viewerでしょうか。
(B)電子ブックリーダーやiPadで読む場合
No. 722さんの作成されたChainLPを使います。
このChainLP、画像ファイルを電子ブック形式のファイルに変換してくれるという優れもの。pdfやePub(電子ブックの標準的なフォーマット)をはじめとした複数の形式に対応し、なおかつ解像度の指定、ページ補正、余白の削除までしてくれます。これがフリーで使えるというのは本当に有り難い。

小説/戯曲の場合、私は上のように設定しています。
これは好みもありますので、色々試してみてください。ちなみにlrfというのはSony Readerに対応したファイル形式です(iPadの場合はePubが最適と思われます)。
このあたりはEeePCカフェさんのお先に!iPadのためにePubを作成する方法に詳しいので一読をおすすめします。
STEP5:読む
変換したファイルを電子ブックリーダー(私ならSony Reader)本体か外部ストレージにコピーするだけ……と言いたいのですが、残念ながらSony Reader、デフォルトでは日本語に対応していません。
そのため日本語フォントをインストールする必要があります。手順は簡単。
1:日本語フォントをダウンロードする(IPAモナーフォントなど)。
2:Sony Readerのルートフォルダ"fonts"フォルダを作成。
3:"fonts" フォルダに、フォント(拡張子はttf)をコピー。
これだけです。
ただし、これでもタイトルや著者名は文字化けします。ローマ字か英語表記にしましょう。
なお、本棚のないスナフキン生活さんが日本語化を公開していらっしゃいます。タイトル著者名も含めて日本語表示が可能となりますが、ファームウェアを弄るため自己責任でお願いします。

Sony Readerによる『ジュリアス・シーザー』の表示。文字も鮮明で読みやすいです。
ChainLPで余白を削除すれば、Sony ReaderでもB5ハードカバーまでなら十分読めますね。二段組みやA4サイズ以上になるとちょっと厳しいです。大サイズの雑誌やムックはPCやiPadで読むのがよろしいかと。
以上、「ディープワンでも出来る自炊」をお送りしました。
皆様、快適な自炊ライフをお過しください。
STEP3:スキャン
いよいよ本番。裁断した本をスキャンです。iPadの予約も始まりましたし、ちょうど良いタイミングかもしれません。
使用するスキャナーはこちら。
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ScanSnap S1500です。
ADF(原稿自動送り装置)を備え、A4サイズにまで対応(キャリアシート使用によってA3も可)。さらにはAcrobat Standardまで付属してきます。個人ユースのドキュメントスキャナーの大本命と言えましょう。この手のスキャナでは一番人気でしょうね。ややお値段は張りますが、それだけの価値はある逸品です。
論より証拠、実際にスキャンしている動画をご覧下さい(アップしたのは私ではありません)。
ScanSnapの性能、おわかりいただけたでしょうか。
では、『ジュリアス・シーザー』を例にスキャンを行います。例が例だけに、以下の方法は小説/戯曲全般に適用出来るとお考えください。
まずは裁断した本をセット。

漫画の電子化の方法さんに倣い、横にセットします。裁断面はどうしても斜めになりますので、この方が綺麗にスキャンできるのですね。もっとも、雑誌やムックの場合、横にするとサイズが大きくて取り込めません。その場合は素直に縦にセットしましょう。
続いてソフトウェア側の設定です。ScanSnapにはScanSnap Managerというソフトが付属しているため、これを用いてスキャンの設定をします。

画質はスーパーファイン、カラーモードはカラー、読み取りは両面。そして継続読み取りをオンに。
オプションは「文字をくっきりします」のみ有効にします。小説/戯曲の場合、このオプションの有無で文字の読みやすさがかなり違うように思いますね。
ファイル形式はjpgを指定。
ここで注意が一点。jpgでスキャンした場合、OCRをかけることが出来ません。OCRが必要ならpdfで取り込んでください(pdfでの取り込みは後ほど説明します)。
設定したら「Scan」ボタンをポチッとな。

さくさく読み込んでくれます。
待つことしばし、スキャンが完了したら、ざっとチェックします。
ページが傾いていないか? ゴミを拾っていないか? などですね。こだわる人は徹底的にこだわる反面、さして気にしない人も多いでしょう。ただ、ページの脱落にだけは注意しましょう。古い型のスキャナーでは重送が発生しやすいため、意外とよく抜けます。 なお、ScanSnap1500には重送検知機能が付いているため、この心配はあまりありません。有り難い。
続けて画像を回転します。

横にしてスキャンしたため、元に戻さないと読めません。いや読めなくはありませんが、常時首を傾けるのはなかなかの苦行です。
pdfならAcrobatで「文章→ページの回転」を選べばOK。
今回のようにjpgでしたら、道具眼日誌:古田-私的記録さんが作成された横スキャンした画像の自動回転バッチを使いましょう。奇数ページ、偶数ページ別に画像を回転させ、縦に戻してくれます。

見事縦になりました。
さて、今回は『ジュリアス・シーザー』を取り込みましたが、前回用意した本は三種類。なぜこんなことをしたかといえば、これは、小説/戯曲、コミック、雑誌/ムックでスキャンの設定が少しずつ異なるからです。
以下、簡単に解説します。
・コミックの場合(サンプル:『烈風!!獣機隊二〇三 』)
カラーモードはグレーを選択。また、オプションの「文字をくっきりにします」はオフにします。
漫画の場合、文字をくっきりさせると絵が犠牲になってしまうことが多いのですよ。
その他は『ジュリアス・シーザー』と同じです。
・雑誌/ムックの場合(サンプル:『ワンダーJAPAN』)
読み取りモードは『ジュリアス・シーザー』に同じ。「文字をくっきりします」もオン。
違いはjpgではなくpdfで読み取る点です。上述したように、pdfでないとOCRをかけることが出来ません。雑誌類は資料として取っておきたいことが多いので、OCRがかけられないと不便なのです。
ここで大事なのは、Scansnap付属のScanSnap Organizerではなく、AcrobatでOCRをかけるということ。ScanSnap Organizerは優れたソフトなのですが、OCRが縦書きに対応していないという欠点があります。洋書ならばともかく、日本語の本でこれは辛い。素直にAcrobatを使いましょう。
スキャンをしてからpdfで読み込むとこんな感じに。
我が家のモニターではちょっと辛いです。しかし美麗。
では、本日はこのあたりにて。
次回は電子書籍に対応したファイルへの変換、および読書に入ります。
せっかく買った「Sony Reader Daily Edition」、遊ばせておくのは勿体無い! ということで、手持ちの本の裁断とスキャン――すなわち「自炊」に挑戦している庵主です。
裁断機とスキャンですが、ようやく我が家にやってきました。
というわけで、しばらくの間は当庵特別規格「ディープワンでも出来る自炊」にお付き合いください。
いやまあ私も初心者なのでご大層なタイトルではあるのですが、そこはご容赦いただきたく。あと、ディープワンでも出来るということなので簡単・便利をモットーに進めていきます。こだわりたい方は自炊技術Wikiをどうぞ。百戦錬磨の職人さんたちの知恵が詰まっております。
さて、自炊は大まかに分けて以下の五段階から成ります。
STEP1:書籍の準備
STEP2:解体
STEP3:スキャン
STEP4:ファイル形式の変換
STEP5:読む
これに則り、ゆっくりと進めていきましょう。
STEP1:書籍の準備
言わずもがですね。取り込む本がなければどうにもなりません。
どんな本を取り込むかは人によって様々でしょうが、私は小説、コミック、雑誌類をメインにしています。人文書や専門書には書き込みをすることが多いので書籍媒体で取っておきたいのですよね。稀覯書に至っては論外です。
今回は小説/戯曲、コミック、雑誌/ムックの三冊を用意しました。三種類を用意した理由はは後日、スキャンのところにて。

この三冊です。
小説/戯曲代表は『ジュリアス・シーザー 』。
ヒライさんも絶賛の男泣き戯曲。シーザー、ブルータスといった古代ローマの男たちの生きざまが熱い。エンターテイメント性が高く、すらすら読めます。
コミック代表は『烈風!!獣機隊二〇三 』。
日ロ戦争を舞台にした蒸気ロボットバイオレンス。つまりいつもの石川賢。「人間は火力が強いからよく燃えるぞ」は石川作品屈指の名台詞です。
雑誌/ムック代表は『ワンダーJAPAN 北海道ワンダー』
北海道の珍名所や廃墟を特集しています。眺めているだけで楽しい。
以上三冊、これより自炊を行います。
なお、以下の工程にあたっては漫画の電子化の方法を全面的に参考にしています。この場を借りてお礼申し上げます。
STEP2:解体
解体の方法はいくつかあります。メジャーなのは
・アイロンを使って背表紙を取り外し、本をばらす
・カッターで本を分割し、ディスクカッターで背表紙を切り落とす
・裁断機で一気に背表紙を切り落とす
といったところでしょう。
今回は裁断機を使用しました。
裁断機の定番といえば「プラス 断裁機 裁断幅A4 PK-513L 26-106」でしょうが、私はこちらを利用しました。
中国製の大型ペーパーカッターですね。格安で話題になりました。最近は品薄、かつ販売価格もまちまちのようです。amazon以外にも楽天等で探すといいかもしれません。私はオークションで買いました。
なお、届いた時点では油と埃で汚れています。軍手と雑巾必須。

重くてでかいです。

『ワンダーJAPAN』をセット。
カッティングの幅は5mmが目安でしょうか。裁断機に目盛りがついているため、それを参考にしてください。
後はざっくりいくだけです。よほど分厚い本でない限り、簡単に切れます。
なおホチキス止めの本の場合、ホチキスは必ず外してください。
ホチキスで刃こぼれしたという報告が多々あります。
ここで注意。
厚めの本を裁断すると、切り口のズレが必ず出ます(自炊Wiki-裁断など工作による方法を参照のこと)。
真っ直ぐ、綺麗に裁断したいなら、カッターなどで本を分冊してからにしましょう。

裁断された『ワンダーJAPAN』。お美事にございます。
裁断した後は、ページとページがくっついていないか丁寧に確認しましょう。これを怠るとスキャンの時に泣く羽目になります。
また、ページをバラさないようにご注意ください。
ノンブルのある小説ならばともかく、コミックや雑誌では元に戻すのが大変な手間です。
同型の裁断機による裁断ビデオをアップしている方もいます。参考になりますね。
とりあえず、本日はここまで。
明日はいよいよスキャンに入ります。
なお、裁断機は高い、置き場がないという方のために裁断サービスを紹介しておきます。
1冊あたり105円で裁断してくれます。オペレーターさんによって当たり外れがあるようですが、仕事は丁寧な模様。店舗の少なさと本を持ち込む手間が短所でしょうか。
ここは有名ですね。1冊あたり110円で裁断サービスを行っています。並行して業務用スキャナの貸し出しもあり。キンコーズに持ち込むのは大変、でも大量に裁断したい……といった場合はここが第一選択肢となるでしょう。
本日到着予定の荷物が見事に届かなかったでござる。おかげで裁断もスキャンも延期。
それだけならまだしも「2010年05月08日 配達に出発致しました→ 配達店へ持ち帰りました」になっているのはどうなんだろう。不在通知も入ってないし。
ちなみに佐川急便です。一度や二度ならともかく、毎度のようにこれだから困る。
……今日は寝よう。
これだけではあまりにあまりなので週刊アスキーのSony Reader特集を貼っておきます。
電子ブックリーダーに興味がある方、Sony Readerはなかなかの優れものですよ。海外から購入する手間を考えても、検討に値すると思います。
一年ぶりのご無沙汰です。
まずは長らくの休止を深くお詫びいたします。そして、当庵を見捨てず訪問してくださった皆様に心よりお礼申し上げます。改めて、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、久々に更新した理由は一つ。ある物を買ってしまったからなのですよ。
そうです、電子ブックリーダー「Sony Reader Daily Edition」です。
電子ブックリーダーといえばKindleが圧倒的に有名。我が国ではSony Readerはマイナーのそしりを免れないでしょう。しかしそれは日本での話。アメリカにおいてはKindleに続いて二番手に付けているそうです。
最近はBarnes & Nobleのnookも注目を集めていますね。アメリカのみならず、中国や韓国といったアジア圏でも続々と新機種が登場しています(参考:中国でも電子ブックリーダーが続々登場!)
私も最初はKindleを買うつもりだったのですが
・タッチパネルがない
・ファイルが独自形式
・外部ストレージが使えない!
等の難点があり、頭を悩ませていました。
特に最後は致命的です。私の場合、我が家を埋め尽くしている本や雑誌をスキャンして読む(いわゆる「自炊」)が主な用途のため、外部ストレージ必須なのですよ。Kindle2の内蔵メモリ2GBでは、すぐに足りなくなるのが目にみえています。DXの4GBでも少し不安。あの画面サイズは魅力的なのですがね。
電子書籍端末総合スレやワイヤレスeブックリーダー徹底対照表などを参考にあれこれ検討していたのですが、結局Sony Reader Daily Editionに決定とあいなりました。この選択にあたっては、EeePC カフェさんの記事を大いに参考にさせていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。
さてこのSony Reader Daily Edition、残念ながら日本国内では販売していません。代行輸入やオークションでの取り扱いはありますが、いずれも高くつきます。なので私はB&Hから個人輸入しました。個人輸入については参考になるページが多々ありますが(こちらなど)、需要があれば私の経験についても書くつもりです。
注文したのが5/4。そして届いたのが本日、5/7。

外箱。

中身はこんな感じ。スマートで格好良いです。
写真には撮っていませんが、この他に持ち運び用のポーチ、USBケーブル、電源コードが付属しています。電源コードは日本のコンセントに対応していますのでご安心ください。バッテリーが交換出来るようになっているのも地味に嬉しい。
気になる解像度等のスペックは以下の通りです。
・画面は7.1インチ。解像度は600x1,024
・モノクロ16階調
・日本語非対応(ただし日本語フォントインストールにより対応可能)
・3Gは搭載していますが日本からは使えません
・pdf、lrf、ePubなど多数のフォーマットに対応
EeePCカフェさんがファーストインプレッション動画をあげてくださっているのでそちらも御覧下さい。
今はあれこれといじっている段階ですが、想像より遥かに読みやすいですね。さすがはE inkというべきでしょうか。ページの切り替えは多少もっさりしていますが、許容範囲のように思います(個人差は相当大きいでしょうが)。
来週頭にはスキャナと裁断機も我が家に装備される予定。
iPadの発売も近いことですし、今後、裁断→スキャン→電子ブックリーダーで読む、の流れをまとめていこうかと思います。