骨格の魅惑

 ご無沙汰しております。
 とりあえずここ数年で一番の山場は乗り越えました。これで一安心。まさかこの年になって点数で一喜一憂するとは思わなんだ。
 しばらくはゆったりと安定更新を心がけます。改めてよろしくお願いいたします。


 それはそれとして、少し前のエントリーでも取り上げた『骨から見る生物の進化』、重版を待っていたのですが、近場の書店で在庫を見つけたので思わず買ってしまいましたよ。

 こちらを見ていただければおわかりの通り、現存する脊椎動物の骨格のみを取り上げた「世界初、驚異の骨格写真集」なのですが、宣伝に偽り無し、美しさが尋常ではありません。

骨から見る生物の進化骨から見る生物の進化
小畠郁生(監訳) 吉田春美(訳)

河出書房新社 2008-02-20
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 amazonさんへのリンクでこのクオリティですよ。
 これだけでお好きな方にはたまらないかと。

 ただ美麗なだけではありません。本写真集最大の魅力は、その躍動感にあります。

 ヒョウが獲物を捕らえんとし、ウマはヒトを背に疾走する
 ウミガメは泳ぎ、クロコダイルは顎を開き牙をむく

 かように、本書に封じられた動物たちは生前の姿を色濃く留めています。

 考えてみれば、奇妙な構図でありましょう。
『骨から見る生物の進化』に収められているのは動物たちの骨格です。腐敗し、解け、分解し、骨となった、いわば動かざる死体であり、静的なオブジェに過ぎない。だというのに、本書の動物たちは疾走し、咆哮し、蠢いている。そこにあるのは劇的なまでの流動性と過剰性――つまりは、バロック的ですらある精神かもしれません。

 思えば、博物学黄金時代の図鑑とは瑞々しい自然を封じ込めた書物でした。『ニューギニア及びパプア諸島鳥類図譜』のカワセミがアゲハを捕らえた構図など、典型的ですね。
 骨格図鑑にしても例外ではありません。史上最も悪趣味な図鑑まで言われた『陸水動物細密骨格図譜』を見てください。緑豊かな自然を背景に、彩色された骨格がポーズをとるという過剰なまでのダイナミズム。
 本書『骨から見る生物の進化』は、これら博物図譜の現代的再話と言えます。冷たく鋭い学術精神と躍動するバロック的な魂の幸福な結合がここにはあります。

 本文の記述はやや専門的。ですが、眺めているだけでも十分満足できること請け合いです。絵を描く際の資料としても有用かと。
 お値段はかなりのものですが、それだけの価値はありますよ。

投稿者: 日時: 2009年03月11日 21:59 Web拍手

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