怪の図書庫:「召喚の蛮名 学園奇覯譚」

召喚の蛮名―学園奇覯譚 (Beam comix)召喚の蛮名―学園奇覯譚 (Beam comix)
槻城 ゆう子

エンターブレイン 2002-12
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<あらすじ>

 主人公、栃草緋不美はどこにでもいる普通の女子高生。だが、ひょんなことから変わり者ばかりが集う「神智科」に編入することになってしまう。神智科で学ぶのはギリシャ語、ラテン語、ヘブライ語、隠秘学に数秘術(ゲマトリア)。そして教材は「エイボンの書」や「ナコト写本」といった魔導書の数々。そう、神智科は本物の「魔法使い」養成コースだったのだ。右も左もわからぬ新生活の導き手は、クラス委員長の無愛想少年・天野。緋不美の学園生活は果たしてどうなってしまうのか?


 RPGマガジンで連載されていた学園オカルトラブコメディです。オカルトといっても山ほどありますが、本作の主題はいわゆる西洋魔術、そして、みんな大好きクトゥルフ神話。これだけでお好きな方にはたまらないでしょう。
 本作の特徴は、オカルト成分がとにかく本格的だという点にあります。それらしいガジェットを使っただけ、ではない。緋不美が教師に魂の行方を尋ねた際の答えが

魂の行方が知りたいんでしょう? 自分で見てきて是非私に教えてもらいたい。その時のためにも貴女の身体はフランシーヌ(デカルトの娘)よろしく精密な機械人形として保存しておきますからね。

 ですよ。デカルトの人形幻想+異端科学とは、素晴らしい。
 登場人物の会話は万事が万事この調子です。まさか学園ラブコメで「大達人(アデプタスメジャー)」なる言葉を見るとは思いませんでしたよ。そのくせ緋不美と天野の触れ合い、すれ違い、微妙な距離感をしっかりと描いているのが何ともまた。無垢で素直な緋不美、狷介で無愛想な天野という対比がいい味を出しています。

 なお、本作においては、クトゥルフ神話のアイドル・這い寄る混沌ナイアルラトホテップが重要な役割を担っています。出番こそ多くありませんが、緋不美を時に惑わし、時に導く様は千の顔を持つ無貌の神に相応しい。ナイアルラトホテップの多面性を描いているという意味でも優れた作品といえましょう。

 amazonではマーケットプレイスのみのようですが、新古書店やオークションで容易に手にはいると思います。お勧め。

投稿者: 日時: 2008年12月30日 21:07 Web拍手

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