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各地で話題になっているこいつチートだろ、っていう歴史上の人物と何したか書いてけ で明石元二郎が取り上げられていますね。
この明石元二郎、帝政ロシアの根幹を揺さぶりその崩壊を招いた立役者と言えるほどの天才的な諜報員でしたが、奇行で知られた人物でもありました。特に清潔面への無頓着ぶりは凄まじく、陸軍幼年学校では垢だらけで平然としており「汚れの明石」とあだ名されたと伝わります。
さて、明石元二郎を主役とした伝奇小説をご存じでしょうか。山田風太郎のいわゆる「明治もの」の一冊、『ラスプーチンが来た』がそれです。
主人公は若き日の明石元二郎。怪物的な宗教家・稲城黄天に攫われた少女・竜岡雪香を明石が救うこととなる事件から物語は動き出します。
明石と雪香を中心に蠢くは、長谷川辰之助こと二葉亭四迷、内村鑑三、乃木大将、オッペケペーの川上音二郎、アントン・チェーホフと、同時代の偉人怪人奇人ばかり。そして物語後半、明石のライバルとなるのはかのラスプーチン!
これだけのキャスティング、明治という魅惑的な舞台装置、さらに作者が山田風太郎とあってはつまらないはずがない。
序盤こそ明石と黄天の虚々実々の対決がメインですが、ラスプーチンの登場と共に、物語は大津事件の驚くべき真相をめぐって急展開を見せます。果たしてラスプーチンの狙いとは? 快男児明石は稀代の怪僧ラスプーチンにいかにして立ち向かうのか? そして、明石と雪香の恋の行方は……?
とまあ、読む手を止めることが出来ません。巻措く能わざるというやつです。
練り込まれたプロット、虚と実の境を疾走する山風一流の筆さばき、そして快男児としか言いようのない明石元二郎の造形と、多方面に渡って隙のない快作です。やや尻切れとんぼなのだけが悔やまれますが、明治もの有数の傑作といっていいでしょう(もっとも、明治ものは基本的に外れがないのですが)。
品切れのようですが、古書で意外と見かけます。amazonでも文春文庫版が安く売っていますね。伝奇小説好き、歴史小説好きな方は是非どうぞ。
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