読書録「トワイライト・レディ」

トワイライト・レディトワイライト・レディ
菊地 秀行

集英社 1987-05
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 その(ひと)に関する最初の記憶は、窓の色だった


 という冒頭の一文からして素晴らしい短篇集。メイン・テーマが吸血鬼ということもあり、菊地秀行の叙情的な面が十二分に発揮された粒揃いの一冊となっております。

 収録作品は

・夕映えと夜を愛する少年「夕映えの女」
・演劇を主題とした耽美的な「薔薇戦争」
・高校卒業を目前とした不良少年の通過儀礼を描く「青い旅路」
・北国で紡がれる静謐な吸血譚「白い国から」

 の四作。
 元々『コバルト』に掲載された少女小説であるため、どれも浪漫的傾向が強いです。名短篇集『D―昏い夜想曲』に近い空気ですね。

 集中では「白い国から」が一番お気に入り。「私」の淡々としていながら叙情的な語り口がまことに魅力的です。抑制されたナレーションが今にも聞こえてきそうなほど。
 雪に埋もれた北国で教師を務める「私」、夜学校に転校してきた白い少女、降り積む雪の中佇む黒衣の男……全身の血を抜かれる怪事件や忽然と現れるマンションといった舞台装置と相まって、切ないほどに美しい作品世界が作り上げられています。

 未収録作品二つと書き下ろし一つを加えた短篇集『黄昏人の王国』も発売されていますが、私としてはやはり本書に愛着があります。めるへんめーかーの挿絵も素敵。

 残念ながら絶版ですが、容易に入手可能。
 浪漫的、叙情的な短篇が好きな方に強くおすすめします。

投稿者: 日時: 2007年08月01日 21:01 Web拍手

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