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![]() | メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 松永 和紀 光文社 2007-04-17 売り上げランキング : 283 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
かなりの良書です。光文社新書はさりげに良書が多いな。
アマゾンさんを見ていただければ解るように、健康食品や科学報道におけるマスメディアの問題点を指摘した本ですね。
世にはびこる健康情報に対し、常に信頼のおける資料にあたる姿勢を貫いているあたり偉い。これには著者が、農芸化学の専門的訓練を積んでいることも大きいのでしょう。
何事も黒か白かで割り切ろうとする姿勢に異議を唱え、メディアの警鐘報道や添加物叩きに懐疑の目を向け、いわゆる自然志向、無農薬志向は必ずしも良いものではないと冷静に判断する著者の姿勢には、大いに学ぶものがあります。
また、「あるある」捏造事件に際し、自分たちが行った安易な報道を棚に上げてバッシングに走った人々を告発するくだりには、行き場のない憤りが感じられます。
非常にバランスがとれた記述を行っており、この種の批判本では出色の出来。特に、科学的に慎重な立場を取り「まとも」な事を書く科学ライターは食っていけないという部分には、ハッとさせられました。
ただ、ちょっと気になったのがマスメディアの報道の扱い。
著者の意見にはほぼ全面的に賛同しますし、偏向報道は問題だらけでしょう。
ですが、発信という行為は、受け手がなければ成り立たないのです。丁寧で科学的な報道でなく、センセーショナルで受け入れやすい番組ばかりがもてはやされる傾向にも一考の余地はありましょう。
一次資料や事実に真摯にあたる良心的な番組でなく、解りやすくお手軽な報道ばかりが歓迎される風潮もまた問題なのかもしれません。
付け加えれば、本書を読んだ上で、マスコミを安易に「マスゴミ」呼ばわりするようでは、読んだ意味はありません。その場合、冷静に情報の真贋を判断し、信頼できる資料にあたろうとしないという意味では、本書で批判されている対象と何ら変わるところは無いのですから。
大切なのは、正確な情報を手に入れるようつとめ、筋道立てて思考し、その思考を批判的に検討することなのでしょう。凡庸に聞こえますが、これが意外なほど難しいのは皆様ご存じの通りです。私自身も心がけないと。
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