読書録「首無の如き祟るもの」

首無の如き祟るもの首無の如き祟るもの
三津田 信三

原書房 2007-04
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 文句なしの傑作

 舞台は奥多摩の孤村、媛首村。村を支配するのは古き血族・秘守一族。戦中戦後という時代背景、田舎の村、旧家の一族という舞台装置から想像される通り、因習、怨恨、伝承がてんこ盛り。秘守一族間の呪術合戦、媛首村に伝わる祟り神・淡首様、正体不明の怪物・首無と、横溝的なキーワードがこれでもかこれでもかと繰り出されます。これらの描写では三津田信三得意のホラー描写が冴え渡っており、たまらない雰囲気を醸し出しております。

 とはいえ、あくまで本作はミステリです。事件部にも手抜きはありません。首無し屍体が戦中戦後の事件共にゴロゴロ転がり、それらの事件はいずれも三重四重の密室状況、関係者は皆アリバイがあるという大盤振る舞い。いわゆる「本格」ファンには垂涎ものかと。

 そして終盤。残りのページ数で山と積まれた伏線を消化できるのかと心配だったのですが、杞憂でした。目から鱗でしたよ。作中で探偵役が述べるように、ある一つの事実に気付くことであらゆる謎が消失するカタルシス。この解決には、優れたミステリ特有の、現実をぐるりと反転させてしまうような心地よさがあります。
 事件は解決したと思わせておいて、さらに二転三転する構成も心憎い。ミステリとホラーを融合させた解決部は見事です。

 世界設定や登場人物の一部は『厭魅の如き憑くもの』、『凶鳥の如き忌むもの』を引き継いでいるものの、関連性は薄く独立した作品として読むことが出来ます。

 文章は読みやすいですね。また、登場人物たちのアリバイや状況を一覧として纏めていることが可読性を高めています。伏線の配置、語り=騙りの手法、仕込みの上手さと、どれをとっても一級の作品。おそらく2007年ベスト級でしょう。

 繰り返しますが、紛れもない傑作。必読です。


●WEB拍手レス

クマムシの存在を初めて知ったのはゲノムでした。すげえや、ちゃんと学習漫画している! ゲノム=学習漫画!

 確かに学習漫画ですが、あれをそう呼んでいいのだろうかという疑問が……

投稿者: 日時: 2007年05月12日 10:18 Web拍手

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