読書録「クマムシ?!――小さな怪物」

クマムシ?!―小さな怪物クマムシ?!―小さな怪物
鈴木 忠

岩波書店 2006-08
売り上げランキング : 19713

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 クマムシをご存じの方は多いでしょう。乾眠状態ならば極低温や放射能、果ては宇宙線にまで耐え、百年単位で生存するとされる微生物です。
 分類的には緩歩動物門に属するこの動物、名のみ高くして体系的な紹介には恵まれてきませんでした。本書は、おそらく日本唯一のクマムシ専門書です。

 クマムシとは何か、から始まって、クマムシの分類学上の位置、その生活史などが丁寧に述べられていきます。オニクマムシの飼育を確立するまでの記述は試行錯誤が伝わってくるようで、生物を飼うことが好きな方は共感できるのではないでしょうか。
 出色はクマムシ研究の歴史を概観する第3章でしょう。この章で、著者は冒頭に述べたようなクマムシ不死伝説を文献的に追求しています。18世紀の古書から現代の論文までを通して、伝説を検証してゆく過程は小著ながらもなかなかにスリリング。出典となる文献が一々記されており、著者の学問的誠実さが伺えます。

 結論としては「一部のクマムシは乾眠状態となり環境に対して大きな抵抗力を持つことが出来る。ただし、これは抵抗できるというだけであり、乾眠状態から復した後、通常の生活を送ることが出来るとは限らない」というところでしょうか。乾眠状態では体内のグルコースをトレハロースに作り替えるという過程も興味深い。
 なお、クマムシ発見当時の観察図などの貴重な図版も多数収録されています。当時の細密図は矢張り美しい。

 軽快でユーモラスな筆致も好印象。無難すぎる、軽すぎるといった批判もあるでしょうが、一般にアピールする意図もあるならこちらの方が正解かと。
 一時期話題となった本でもあるので、少し大型の書店なら置いてあると思います。是非ご一読を。

<関連リンク>
岩波科学ライブラリ一覧
Wikipediaよりクマムシ
クマムシゲノムプロジェクト

●WEB拍手レス

そういえばブログ2周年、おめでとう御座います。アリスの頃からを考えると、もっとですが、なんにせよ目出度いです。これからも怪奇幻想なブログを楽しませていただきます。

 有り難うございます。
 もう2年か……早いものですね。趣味全開の当庵ですが、今後もよろしくお願いいたします。

連休中にアウレオールスの夜を読み返してみたり。
そういえば型月作品とSIRENのクロスって見かけませんね。
バトル物じゃなくても良いのですが
ED後の須田恭矢ならまともに戦力としていけそうですし。
アウレオールスの夜に出たり……はしないですかね?

 最近はめっきり更新が遅れており申し訳ありません。もっと書かないとなあ。
 SIRENはありそうで無いですね。そういえば零シリーズとのクロスも見ないな。
 出す予定は……今のところないです、はい。

投稿者: 日時: 2007年05月06日 17:16 Web拍手

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.gyosekian.net/mt-tb.cgi/504

コメントを投稿