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デイヴッド・マレルといえば『ランボー』の原作『一人だけの軍隊』をはじめとする冒険小説の書き手として有名です。ですが、ダークサスペンスやホラーの名手でもあることは案外知られていません。
それらの作品群は、定期的に『ナイト・フライヤー』のようなモダンホラー系アンソロジーや雑誌に収録されていたものの、まとまった形にはなっていませんでした。本書は、マレルが三十年に渡り書き綴ってきた中短篇を収録した作品集です。
収録されているのは全十六作品。エッセイである二作を除けば、残りは全てサスペンスかホラーのどちらかです。
発売当時各地で絶賛されただけあり、収録作品はどれも外れ無し。マレルは長篇においても物語の構成が大変に上手いのですが、短篇になるとそれがさらに際立ちます。初期の作品こそシニカルすぎて少々胃にもたれますが、中期後期の端整な叙情性とでもいうべき世界は本当に魅力的。そのうえ、背筋や胃に残留する恐怖は増す一方なのですからもうたまりません。
表題作『苦悩のオレンジ、狂気のブルー』が集中ベストでしょう。『ナイト・フライヤー』の隠れ看板的な作品でもありましたが、改訳によってさらに読みやすくなっております。タイトルの響きもいいなあ。
550ページ近いボリュームでこのお値段というのも素晴らしい。翻訳も良質であり、大変優れた中短篇集であると思います。短編小説やホラー、サスペンスが好きな方は是非ともお手にとってみてください。
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