070212の読書

 実用書+αで二冊ほど。

原稿用紙10枚を書く力』(齋藤孝/大和書房)

 三色ボールペンで名前が売れた齋藤孝による、文章の構成の仕方教授本。
 齋藤孝は本を粗製濫造しすぎなのですが、文章構成方法と文体の手に入れ方という点に限って言えば本書は有益です。

 といいますのも、原稿用紙10枚程度の短文の組み立て方に絞って解説しているからですね。
「テーマを決めて、キーフレーズを三つ見つけ、論理を通せ」という主張は単純であるだけに、実効性は高い。レポートや論文を書くことに馴れている方には今更でしょうが、はじめに読む分には大変良いかと。ありがちなレポートの書き方本より有用です。名著『理科系の作文技術』と併読すると良さそう。

 SSを書く上での参考にもなりますね。いかなる文章も最後は骨格ですから。


日米開戦の真実 大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く』(佐藤優/小学館)

 毀誉褒貶の激しい大川周明の代表的著作の復刻+佐藤優による注釈+佐藤優による今後の日本の進むべき道論。

 英米との開戦に至る論理を明晰に語っており、興味深い内容です。思想内容や論理に賛否はありましょうが、大川周明が当時一級の知識人であったことは間違いありません。その彼の主著(今迄入手困難でした)を注釈付きで読み込むことは、思考を鍛える上でも有益です。
 なお、内容が内容だけに、批判的な読みが必要なのは言うまでもありません。
 本書に限ったことではありませんが、唯一解の無い文章に触れる場合、理解した上でクリティカルに読む技術は必須です。

 ただ、留意点が一つ。
 本書の二章と四章、それに序章は佐藤優の論が展開されています。佐藤はおそろしく鋭敏な頭脳の持ち主であり、発表する媒体や出版社によって論調を変えている節があります(『獄中記』と本書、それに『ナショナリズムという迷宮』あたりを読み比べてみれば一目瞭然でしょう)。その上で己の主徴を首尾一貫させているあたりが凡手ではないのですが、それは余談。
 本書においてはその傾向が顕著であり、本論から外れた箇所において妙に威勢の良い意見が見られます。おそらく、かなり計算して書かれていると思われます。

 そのためか、amazonのレビューやネット上の書評では本書を元に「東京裁判史観」や「自虐史観」を攻撃している論が散見されます。それらの論の当否はともかく、安易な即断は大川にとっても佐藤にとっても本意ではないだろうということだけは心に留め置く必要がありそうです。

投稿者: 日時: 2007年02月12日 23:21 Web拍手

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