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![]() | 獣たちの夜―BLOOD THE LAST VAMPIRE 押井 守 角川書店 2002-07 売り上げランキング : 101271 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
1969年。学生運動華やかなりし時代。
高校生活動家、三輪零は機動隊に追われて逃げ込んだ路地裏で恐るべき斬殺死体を目撃する。そこで零が出会ったのは、獣の眸を持つセーラー服の少女だった。
この邂逅を皮切りに、零の周囲に奇妙な者たちが現れ始める。人が変わった活動家・青木。胡散臭い刑事・後藤田。そして、小夜という名を持つあの少女――やがて零は、否応なく非日常の世界へと巻込まれてゆく。
凄い。
どこがどうBLOOD THE LAST VAMPIREなのかはともかく、類を見ないノベライズなのは確かです。BLOODの企画協力とはいえ押井やり過ぎ。
本筋はあってなきが如し。零と仲間たちの異様にリアルな生活描写と、学生運動理論に関連した蘊蓄の奔流が延々続きます。BLOOD(+を含む)という作品群の擁するパーツを個別にまで分解し、一人の学生運動家を主軸として結実させる手腕は流石です。
高校生三輪零の日常生活、学生運動という日常と融合した(していた)非日常、BLOOD世界という非日常という3つの世界が多層的に絡み合っており、物語の構造には大変魅力的なものがあります。特に最終章「総括」は絶妙。
押井一流の小気味よい語り口で展開されるペダントリーは健在。特にクライマックスにおける大人二人の衒学的なやり取りは圧巻です。まさか肉食と狩猟文化に関する講義があれほど続くとは。一応伝奇アクションじゃなかったのかBloodは。
小説と呼ぶか講義と呼ぶべきか迷いますが、押井守以外には書けない作品なのは間違いないかと。
好みは大変別れるでしょうが、個人的には傑作とみました。文章の魅力とは即ち語り口であるということも実感させてくれます。
いやあ、読んで良かった。
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