読書録:記憶と時間の迷路――「月光とアムネジア」

月光とアムネジア月光とアムネジア
牧野 修

早川書房 2006-08
売り上げランキング : 28769

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

<あらすじ>

 “レーテ”。それは、入り込んだ者の記憶を三時間毎にリセットし、重篤な認知障害を引き起こす特殊な空間である。60年間謎であり続けた伝説的殺人者、町田月光夜が“レーテ”に入り込んだのだ。県警と犯罪組織の命を受け、捜査部隊は月光夜を追って“レーテ”に進入する。そこで彼らを待っていたのは、謎の少女をはじめとする数々の怪奇現象だった……




 牧野修ならではの作品。
 一見するとサスペンスですが、“レーテ”という奇妙な現象、“レーテ”内に存在する独特の生物群、終盤に炸裂する超絶論理など、性質的には幻想SFに近いものがあります。解説にある通り、作者得意の博物誌的SFとも言えますね。
 
 独自の用語や難解な設定が散見され、語るのが困難な作品です。ただ、「三時間ごとに記憶がリセットされる」という設定を物語の根幹と関わらせているのは流石。数々のガジェットとストーリーが有機的に結びついており、完成度は高いですね。また、終盤のサスペンスには手に汗握るものがあります。

 癖の強い用語や文体も良し。このあたり、さすが牧野修と言えましょうか。
 余談ですが、腐り姫やクロスチャネル系のギミックを有したノベルを上手く小説にするとこの作品のようになるのかもと思いました。そういう意味でも参考になりそう。

 しかしタイトルがいいなあ。『月光とアムネジア』。この響きだけで売れますよ。


<関連書籍>
稲生平太郎『アムネジア』
菊地秀行『風の名はアムネジア』(『インベーダー・ストリート』に収録)


●WEB拍手レス

>私も「東方の快男児」読みました、濃いお話でしたね、少佐とかもろ好みです(笑)列車を変形させたり、クトゥルー系の話に出てくる人を出したりと最高な作品でした、小説版とか出ませんかね?

 いや、少佐は最高でしたね。あの口調に大笑い。
 小説は出て欲しいなあ……

投稿者: 日時: 2006年09月22日 20:57 Web拍手

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.gyosekian.net/mt-tb.cgi/414

コメントを投稿