読書録「ダ・ヴィンチ・コード最終解読」

ダ・ヴィンチ・コード最終解読ダ・ヴィンチ・コード最終解読
皆神 龍太郎

文芸社 2006-04
売り上げランキング : 6153

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


(本項にはダ・ヴィンチコードに関するネタバレが含まれます)


 人は「隠された真実」という謳い文句に弱いものです。偽書偽伝の類、現代医学否定論、陰謀説の氾濫。「この世界の裏にはこんな真実があった!」と主張する本は、それこそ毎月のように書店に並びます。多くは打ち棄てられ忘れ去られますが、極一部が巨大な流行を作り出すこともありましょう。数年前に「神々の指紋」が大ブームとなったことをご記憶の方も多いのではないでしょうか。

 さて、ダ・ヴィンチ・コードは、小説という形状をとることで、近年稀に見る規模でこの種の流行を巻き起こしました。全世界では数千万部という大ベストセラーになっており、我が国でも売れ続けています。
 やや動きが落ち着いてきたとはいえ、関連本の出版も留まるところを知りません。駅前の小さな本屋でも、文庫版ダ・ヴィンチコードの周辺に、蘊蓄本、謎解き本が山ほど積まれているのが確認できます。

 そんな中、冷静かつ理性的にダ・ヴィンチコード批判を展開したのが本書です。日本語で読め、かつ一定以上の質を保った批判書は現状これくらいでしょう。
 批判書といいましてもそこは皆神龍太郎、安易な感情論ではなく、一々論拠をあげてダ・ヴィンチコード本文中に記された虚偽を攻撃、排斥して行きます。原作における不正確な点や事実誤認を暴き、ダン・ブラウンのネタ元を明らかにしていると思えばいいでしょう。

 第一章で、ヨハネ=マグダラのマリア説、そして「最後の晩餐」に秘められたメッセージという主張を、明快な筆致で一刀両断。返す刀で「二枚目のモナ・リザ」を紹介したテレビ特番も斬って捨てます。小気味よい語り口が清々しい。

 第二章以降が本番であり、「ダ・ヴィンチコード神話」における中核とも言えるシオン修道会の真偽を丁寧に解説して行きます。修道会そのものが20世紀になってから捏造された文書からとられた、半ばお遊びのようなものであったという暴露をはじめとし、シオン修道会が纏った意匠をはがして行くプロセスにはなかなかの知的興奮があります。
 最終的に明かされる「驚愕の事実」の腰砕けぶりは必読。

 超常現象や不思議現象好きな方にはお馴染みレンヌ・ル・シャトー伝説と、シオン修道会の繋がりは読みどころ。虚偽が虚偽を呼び、偽史が形作られ流布してゆく過程には単なる謎解きを超えた魅力があり、個人的にはその部分に最も興味をそそられました。偽史というものが何故これほどまでに人々を惹き付けるのかは一つの命題であるように思われます。

 優れた良書。
 こういう話が好きな方は読んで損なしです。


関連リンク
Wikipedia シオン修道会
priory of sion(シオン修道会に関する貴重な資料の宝庫)
レンヌ・ル・シャトーの財宝伝説(翻訳書。レンヌ・ル・シャトーとシオン修道会について詳しく知りたい方は必読)

投稿者: 日時: 2006年06月20日 18:20 Web拍手

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.gyosekian.net/mt-tb.cgi/360

コメント: 読書録「ダ・ヴィンチ・コード最終解読」

前皆神さんが書いた神々の指紋の批判本をかいのがしたなあと思ったらまた皆神さんかよ!
かえせよ! オレの純情を返せ!(笑)

投稿者 小太刀右京 | 2006年06月20日 20:41

神々の指紋批判本はユウム・ハジメ氏じゃなかったっけ?
今度持ってくよ。

投稿者 ヤス | 2006年06月25日 21:30

コメントを投稿