オールナイト

 見てきましたよ、『立喰師列伝』と『押井守監督関連作品オールナイト上映イベント 蘇る伝説の立喰師たち』の押井守地獄コンボを。


『立喰師列伝』。
“月見の銀次”をもって嚆矢とする架空の存在『立喰師』の設定と、立喰師の存在そのものが語る時代の空気に思想、そして、立喰師たちが成し遂げた「戦後なるもの」への反抗を延延と描いた映画。怪作。
 全ての立喰師の始祖“月見の銀次”、戦後的な立喰テロリスト“けつねコロッケのお銀”、外食産業華やかなりし時代にただ己が胃袋のみで牛丼チェーンに戦いを挑んだ“牛丼の牛五郎”、インド人の姿をとり、ただひたすらにカレーを食べ続け、やがては自らを都市伝説として消えていった“中辛のサブ”……彼ら立喰師と時代との関わりが、山寺宏一の声で続けられる衒学的ナレーションにより明瞭に語られます。ある意味で、非常に理解しやすい作品。
 立喰師に関する歴史的証言や研究者による言及などを大量に捏造し、歴史的事実を混ぜて語る手法は見事の一言。語りは騙りであることを、文字と映像の両面から実践しています。個人的にはこの点だけでも見に行った甲斐があった。
 ボルヘスやレムの得意とした、証拠や証言の捏造による、批判的視点を取込んだ歴史の再構築を思い出します。ガルシア=マルケスや大江健三郎的な、偽史構築型伝奇作品としても見ることが出来るような。
 お勧め。


『蘇る伝説の立喰師たち』は

・『ヤットデタマン』#12 危うし!!ジュジャクの曲芸
・『逆転イッパツマン』#14 太平洋無着陸 気球横断
・『うる星やつら』#87 さよならの季節
・『うる星やつら』#122 必殺!立ち食いウォーズ!!
・『紅い眼鏡』(劇場作品)
・『機動警察パトレイバー』新OVA#10 その名はアムネジア
・『御先祖様万々歳!』最終話 胡蝶之夢

 という上映作品からしてお察しくださいとしか言えないわけですが、押井守のやっていることは昔から殆ど変っていないのが良く解ります。
 乾いた風景、空飛ぶ飛行機、衒学的な語り、そして脈絡もなく出現する立喰そば屋。特に『必殺!立ち食いウォーズ!!』は、うる星キャラと押井立喰師がひたすら大食い対決をするという、うる星やつらである必然性が欠片ほどもない素晴らしい作品でした。トークショーでも押井監督が話題に出していましたが、良く放送されたなあれ。『太平洋無着陸 気球横断』にしても、カムチャッカの荒野に何故か立喰いそば屋あるしな。
 あと深夜に『紅い眼鏡』を見たのは死ぬかと思った。その昔小太刀に見せて貰った時も衝撃的だったが、スクリーンで見るとまた違う趣が。「1995年夏。人々は溶けかけたアスファルトに おのが足跡を刻印しながら歩いていた――ひどく暑い」。

●今日の伝奇

「あやかしびと」PS2に移植(4/28の日記より)

「あやかしびと」は昨年度屈指の優れた伝奇アクションだっただけに楽しみです。新規シナリオと新規キャラはどうなるかなあ。

●WEB拍手レス

>俺の名はアッシュ!日用品係だ!
>靴紐がほどけてるぜと甲冑の騎士に向かって言うやつがやってきた!

 そして甲冑の騎士にアッパーパンチ!
 やっぱ最強ですあの日用品係。是非とも英霊になるべきだ。

投稿者: 日時: 2006年04月29日 17:35 Web拍手

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