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演出家であり作家でもある久世光彦氏が2日朝に亡くなられました。
ご冥福をお祈りいたします。
私は世代的に久世演出のテレビ番組をあまり知りません。著書によって久世世界に触れたのですが、『蝶とヒットラー』に一読魅了されたことを思い出します。
優れた品格と鋭い知性、そしてノスタルジックに過ぎる程の感傷性。日本語に対する徹底したこだわりもあり、半随筆といった態の作品の名手でした。読んでいると作者の落ち着いた聲が聞こえてきそうな文章というのはなかなか在るものではありません。
いまここで私が神隠しに遭ったところで、誰一人振り返りもしないだろう。人は行き過ぎ、黄昏の中、私がいまし方まで立っていたそこには、たとえば私の咥えていた煙草がゆっくり煙を上げているだけである。
『蝶とヒットラー』
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