読書録「イローナの四人の父親」

イローナの四人の父親イローナの四人の父親
A.J. クィネル A.J. Quinnell 大熊 栄

新潮社 1992-08
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<あらすじ>

 1956年、ブダペストは動乱に揺れていた。
 美貌の女、エヴァ・マレイターは生活のため、米国、独逸、ソ連、英国の男たちに1回ずつ身を売る。そして、それきりで稼業をやめにした。
 二週間後。
 エヴァは何とかして男たち四人を集め、告げた。
「私妊娠しました。中絶するつもりはありません。あなた達のうち誰かが父親よ」
 困惑し驚愕する四人。しかも困ったことに、四人のうち三人はスパイ、残るソ連の男は特殊部隊の隊員だったのだ。
 議論の末、四人はそれぞれ距離を置いてエヴァと子供を見守ることにする。

 十四年の時が過ぎた。
 国家間陰謀の最前線で活躍していた四人の前に、一通の手紙が届く。
 差出人の名はイローナ。かつて彼らが父親となることを誓った少女。
 やがて男たちはイローナに会うべく一堂に会する。
 だが、時同じくしてイローナが何者かに誘拐された。
 誰が? 何のために?
 CIA。MI6。スペッツナズ。BND。各々に所属するプロフェッショナル四人は国家の利害を超えて手を組み、必死の追撃を開始する。





 いやもう、作品の根幹をなすアイデアに脱帽です。
 こんな突拍子もないプロットはそうそう思いつくもんじゃない。流石は名手クィネル(映画「マイ・ボディガード」の原作である「燃える男」で有名)。

 あらすじにも書いた衝撃的な出だしの後、米ソ独英の男たち四人のスパイとしての活動や私生活が丹念に書かれます。
 このため、読者は無理なく四人に感情移入して読み進めることが出来ます。四人が四人ともいい味出してるんだこれが。特にスペッツナズ所属のソ連軍人、ミハイル・セーロフの格好良さは必見。

 何者がイローナを誘拐したのか?
 何故、各国の凄腕を敵にまわしてまで誘拐を決行したのか?
 フーダニットとホワイダニットが適度に組み合わされたミステリ的興味。さらに、プロフェッショナル四人の追跡や侵入といったアクション部分の面白さ。紛う事なき、一級のエンターテイメントです。

 荒唐無稽な設定もリアルさを失っていません。クィネル特有の丹念に書き込まれた文章によるところ大でしょう。
 一気読みを保証。
 お勧めです。


●WEB拍手レス


>これは買いですね。
>いつもいいブツを紹介してくれて感謝の極みですな。
>楽しみだのう。

 いや本当に楽しみです。
 最近は怪奇幻想ものが好調で嬉しいですね。

投稿者: 日時: 2006年02月16日 18:44 Web拍手

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