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![]() | 修羅の刻 15―陸奥圓明流外伝 (15) 川原 正敏 講談社 2006-01-17 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
江戸時代。無類と称された力士がいた。名を雷電為右衛門。六尺五寸という体格と、人間離れした膂力を誇る相撲史上最強の男。
雷電の伝説がはじまったのは寛政二年。土俵入り早々に圧倒的な強さで勝ち進んだ雷電は、快進撃を続ける。そして寛政六年、押しも押されもせぬ天下無双の力士となっていた雷電の前に、一人の男が姿を現した。
陸奥左近。徒手空拳で無敗を誇る、陸奥圓明流の正当後継者。しょぼくれた四十男にしか見えないその男は、正しく鬼だった。
足かけ三十年に及ぶ雷電と陸奥の物語が、ここに幕を開ける。
伝奇もの、ということで「修羅の刻」最新刊をご紹介。
今作は素晴らしいです。「修羅の刻」は話による出来のばらつきが大きいのですが、この雷電篇は、名作と名高い幕末篇・アメリカ篇に次ぐ出来。
陸奥の一族は当然出てきますし相変らずの容赦ない強さ。とはいえ、今作は陸奥の強さが主題ではありません。主役はあくまでも雷電為右衛門、そして陸奥左近の娘、葉月の二人です。
本質的にはこの話、格闘物語ではありません。雷電vs陸奥のシーンにも多くのページが割かれていますが、突き詰めれば雷電と葉月のプラトニックラブストーリーであると感じます。二人の交流が直接描かれたページは然程多くないのですが、それ故に互いの存在の大きさが感じられる出来となっております。キャラクターの描写は上手いですね、矢張り。
終盤に登場する葉月の息子、陸奥兵衛の描写が薄いのも、雷電と葉月の物語にケリをつけるための舞台装置としての役割を担っているせいかもしれません。
常々思うのですが、「修羅の刻」シリーズは、歴史上の人物を主役にし、さらに陸奥がその脇を固めるという構図が一番面白い気がします。坂本龍馬と陸奥(第二巻)しかり、ネイティブ・アメリカンの勇者やワイアット・アープと陸奥(第四巻)しかり。力点が歴史上の人物とその動きにかかるため、陸奥の時に傍若無人ですらある最強ぶりが目立たないせいもあるのでしょう。
久々に読んで満足な修羅刻でした。
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