読書録:「日本怪奇小説傑作集3」

4488564038日本怪奇小説傑作集 3
紀田 順一郎 東 雅夫

東京創元社 2005-12-10
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 明治以降の日本怪奇幻想小説を編んできたこのシリーズもとうとう完結。
 今回は高度経済成長期、1960年から21世紀も目前だった1993年までの作品を収録しています。
 このシリーズは一巻、二巻と、数ある怪奇幻想小説から鉄板中の鉄板作品をセレクトしてましたが、三巻においてもその方針は変らず。名作、良作ばかりがセレクトされています。タルホの「山ン本五郎左衛門只今退散仕る」が収められているのは嬉しいですね。つい先日まで、入手しやすい文庫では読めなかったので(最も、今年になってちくまの稲垣足穂コレクションに収録されてますが)。

 小松左京作品はおろか、日本怪奇小説上でも屈指の傑作「くだんのはは」、幻想と現実の境目があやふやになり、次いで確かな現実が浮かび上がったかと思うと最後の最後にそれがひっくり返される赤江瀑「海贄考」、日本の田舎が持つ湿度の高さと不気味さを浮かび上がらせた傑作、高橋克彦「大好きな姉」と、絶品揃いです。
 怪奇幻想というジャンルの作品は文章力が命なので、磨き抜かれた日本語を読みたい方にもお勧めですよ。「大好きな姉」の幕切れの文書の見事さには本当感心した。あやかりたい。

 碩学・紀田順一郎と、名アンソロジスト・東雅夫の解題解説も冴えております。作品を手当たり次第に放り込んだだけの手抜きアンソロジーとはひと味もふた味も違いますな。アンソロジーの魅力は矢張り、多用な作家の作品を一同に会させ、新しい魅力を発見させる点にあると思うのですよ。

 なお、収録作は以下の通り。

「出口」(吉行淳之介)/「お守り」(山川方夫)/「山ン本五郎左衛門只今退散仕る」(稲垣足穂)
「くだんのはは」(小松左京)/「名笛秘曲」(荒木良一)/「楕円形の故郷」(三浦哲郎)
「はだか川心中」(都筑道夫)/「箪笥」(半村良)/「門のある家」(星新一)
「影人」(中井英夫)/「幽霊」(吉田健一)/「遠い座敷」(筒井康隆)
「縄」(阿刀田高)/「海贄考」(赤江瀑)/「ぼろんじ」(澁澤龍彦)
「風」(皆川博子)/「大好きな姉」(高橋克彦)

投稿者: 日時: 2005年12月23日 20:18 Web拍手

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