読書録「ウィルソン氏の驚異の陳列室」

4622046490ウィルソン氏の驚異の陳列室
ローレンス ウェシュラー Lawrence Weschler 大神田 丈二

みすず書房 1998-11
売り上げランキング : 430,389

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 ロサンゼルス郊外に位置する博物館「ジュラシック・テクノロジー博物館」があるそうです。この博物館に展示されているのは、実に奇妙な物ばかり。
 ある種の胞子を吸い込むと頭から角を生やし、あらゆる義務を放棄してひたすら木に登り詰め、やがて死亡し、角から再び胞子を撒き散らす蟻――メガロポネラ・フォエテンス。あるいはコウモリ学者ロナルド・R・グリフィスにより報告された、紫外線を放射することにより飛行するコウモリ――マイオーティス・ルーシファーガス。
 驚異的な展示物についての記述が続くにつれ、読者はある疑問を持ち始めるでしょう。そう、果たしてこれらは、どこまでが真実なのか?

 当然著者も同じ疑問を抱き、博物館館長ウィルソン氏への聞き取り、関係調査機関への問い合わせなどを通じ、展示物の真贋を問い合わせます。その結果は驚くべきことに、いかにも本当そうに見える展示物がでっちあげであり、どう考えても与太話な展示物は細部まで本物だったというもの。ジュラシック・テクノロジー博物館では、何が正しく、何が虚偽かという境界線を引くことが出来ません。針の穴の内側に刻み込まれた、僅か30ミクロンのヨハネ・パウロ二世の彫刻。それは博物館が語るように、あるヴァイオリン教師により手ずから作られた芸術作品なのか? それともただのでっちあげで、そんなヴァイオリン教師など存在しないのか? 真実と虚偽の境界を歩き続けるうち、著者も読者も幻惑の中に落ち込んでいきます。

 実際、博物館を見学したある人は、事務室に置いてあったなんの変哲もない鉛筆削りから目が離せなくなってしまったそうです。只の鉛筆削りにしか見えないそれが、実は途方もない秘密を秘めているような気がしてきて仕方なく、ついには鉛筆削りから目が離せなくなってしまったというのですね。
 この本は――いや、我々の見ている事物や現象は、どこまでがフィクションでどこまでがノンフィクションなのか。現実と幻想の境界とは何なのか。そもそも我々の存在とはもしかするとフィクションではないのか。
 読了した折の、混乱と浮遊感、現実からの解離感が実に心地良い一冊です。
 いや、いい読書体験でした。

●WEB拍手レス

>呪紋大三郎復活キター!! 白き医師は出るようですが煎餅屋はどうなんでしょ?

 「ぼく」「私」の人は出ない予定です。流石にあの人まで出すと収集付ける自信がないという……

>用語辞典を読んだのですが、ガレーンって魔法使いクラスの人なのでは?

 実力的にはそうかと思うのですが、魔法使いの存在はTYPE-MOON世界設定の根幹に関わりかねないため、魔術師の一柱ということにしてあります。ご了承ください。

>(アドレス省略)
>そちらのアドレス先のものを見てください。とても素敵にシュールなCMです。

 む、ページが存在しないようです。URLが変ったのかな。
 本体ページの方には行けるようですので、そちらから探してみますね。

投稿者: 日時: 2005年12月18日 23:31 Web拍手

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.gyosekian.net/mt-tb.cgi/247

コメントを投稿