奇妙な経験(達人編)

 まずは、天日録さんの8/12分、「達人との遭遇」をご覧ください。

 ……読みましたか?

 「達人との遭遇」、これって新耳袋や東京伝説に載ってても違和感ない話だなあ。途中までは「ちょっと奇妙な話」なんですが、最後にちゃんとそれっぽいオチがつくあたり素晴らしすぎる。

 日常に忍び込む“何か”→“何か”の異常性の認識→“何か”の消失、と。きっちり怪談や都市伝説の構造を持ってますよ。偶然の体験とは思えない見事さ。

 それに脚色次第ではエライ怖い話になりますよ、これ。
 ペットボトルを頭に乗せているのがおじさんだからユーモラスなのです。
 想像してみてください。
 350mlペットボトルを頭に乗せているのが、長い髪の毛で顔を隠した痩せ細った女性だったりしたら?
 おじさんのままでも、350mlペットボトルに入っているのが、何だか良く解らない、ドロドロした赤い液体だったら?

 考えてみたら怖くなってきたので、実際にそれっぽくしてみました(田中天さん、ご迷惑でしたら一言お願いいたします。削除致しますので)




 ライターのTさんの体験である。
 喫茶店でくつろいでいると、一緒にいた友人の一人が血相を変えた。
 ひどく驚いた表情だったという。
「何事ですか?」
「振り返ってみてください」
 振り返るとカウンターがあり、店員が注文をとっていた。
 注文しているのは中年の男性。どこにでもいる会社員といった様子だ。
 別に普通じゃないか……とぼーっと見ていると、奇妙なことに気付いた。
 頭の上に何かある。
 目をこらす。
 ペットボトルだ。
 男性の頭の上にペットボトルが乗っている。ちょうど350mlが入るサイズ。
 奇妙なのはそれだけではない。
 ペットボトルには、真っ赤な液体がみっしり詰まっている。液体は先ほどから微動だにしない。
 トマトジュースだろうか? だがそれにしては、粘っこくどろりとしすぎている。蓋を開ければ臭ってきそうだ。
 なぜかTさんは、血を連想したという。
 唖然としたTさんたちが見る中、その男性は飲み物を受け取ると二階席へと向かった。
「俺ちょっと見てくる」
 トイレに行こうとしていた友人が立ち上がり、男性の後を追う。その間に、Tさんはカウンターに駆け寄った。
「ね、ね、アレ、どういうこと?」
「ええ、たまに来ますね」
「接着剤か何かで固定してるの?」
「わかりません。何度見ても」
「あのボトルの中身なんだけど……」
「それも全然解らないんです」
「そうなんだ……」
「払いは普通ですし、変なことしたりもしません。ただ、狙いがまったくワケわかんないんですけどね」
「どうもありがとう。……ジンジャーエール追加」
「承知いたしました」
 テーブルで騒然としていると、二階にあがった友人が戻ってきた。なぜか顔が青い。
「どうした?」
「……いないんだよ」
「いないってお前……」
 友人の話によると、二階にあがったところで男性を見失ってしまったという。さほど大きい喫茶店ではない。一目で室内を見渡せるし、二階出口などはもちろんない。
「何なんだかなあ……」
 気を取り直してジンジャーエールを飲もうとすると、何か妙な臭いがした。
(何の臭いだ?)
 不思議に思ったTさんがコップに鼻を近づけていると、お冷やを飲もうとした友人がわっと悲鳴を上げた。
「今度は何だよ」
 ぼやきつつ目を戻したTさんは絶句した。
 テーブルの飲み物が全て真っ赤に染まっている。ペットボトルに入っていた液体と同じようにどろりともしている。匂いをかぐと血のように鉄臭い。気づけば、Tさんのジンジャーエールも、真っ赤になって鉄錆の臭いを発していた。
 勿論、そんな飲み物を注文したはずがない。
 Tさんたちは、そのまま何も言わずに喫茶店を後にしたという。




 ……あれ、何か違うな。


 しかしまあ、羨ましい体験だなあ。その場に居た(と推測される)人に心当たりがあるので、実際どんな感じだったのか聞いてみよう。

投稿者: 日時: 2005年08月13日 20:44 Web拍手

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