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坂上悦郎は漫然とした日々を送る大学生。彼はオンライン対戦格闘ゲーム<バーサス・タウン>のカラテ使い・テツオでもあった。アキオは格闘大会の優勝候補に上げられるほどの強豪であり、それは同時に悦郎が現実のかなりのリソースを<バーサス・タウン>に注いでいることを意味する。
薄皮の張ったような現実。何となく通っていた大学で知合った布美子との仲は進展せず、<バーサス・タウン>では辻最強とされるジャックの探索に明け暮れていた。その中で出会ったのは、<バーサス・タウン>ではハシモトという奇妙な忍者、現実ではルイという矢張り奇妙な少女。
リアルとバーチャルの行き来を繰り返す悦郎は、ついに辻斬りジャックと対峙する。
うーん、読んでいる途中も読後も、違和感を抱き通しでした。
あとがきには
「ゲームをやって育ってきたオレたち」は、ネットに繋がったいまのバーチャル世界でもバーチャルな人格の萌芽をちゃんと持っている。そして、リアルな自分への違和感、漂泊感みたいなものを感じている。
そんな、言葉で説明しづらい感覚みたいなのを物語として書いてみようかと思った。
とありますが、その「感覚」を私は既に有しなくなってしまったようです。
どこか間延びした主人公の生活も、冷たくも熱くも無い、生温い思考感覚も、何もかもが微妙に感じてしまう。行動にも思考にも殆ど共感出来ない、かといって反発を感じるでもないという感覚は久しぶり。
いや、桜坂洋はかなり腕の良い作家なので、そういう反応も読み込んで書いているのかもしれませんが。
作品の試みは面白く、バーチャルとリアルの双方をたゆたうあの微妙な感覚をしっかりと言語化している辺りは流石です。
おそらく、高校生の頃や大学入学初期の頃、数年前までなら色々と強く共感するところもあったでしょう。そういう意味ではこの作品、正しく青春小説なのかもしれません。
絶対お勧め、と言う事は私には出来ませんが、ゲーム機、PCゲーム、オンラインゲームを友として育った世代の方には、一読の価値はあるかと思います。
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