2005年07月のアーカイブ

伝奇ゲームファンのための日本伝奇入門(2)

●伝奇ゲームファンのための日本伝奇入門(2)




 はい、第二回です。前回の内容はこちらをご覧ください。
 今回は1920年代、伝奇の活発化から、1960年代の異端文学復権までを概観しましょう。事実誤認、不適切な記述などありましたらご指摘くださると幸いです。


■1920年代/純文学と伝奇


 まずは前回の補遺。

 1913年、三島由紀夫が影響を受けたと言われる郡虎彦は、「鉄輪」(「陰陽師伝奇大全」に収録)で安倍晴明と丑の刻詣りを行う怨み骨髄に徹した女を描きました。露骨な伝奇的アクション描写はないものの、稀代の陰陽師と恐ろしい女の怨みと、伝奇の定型を扱っています。
 純文学方面からも伝奇的アプローチがあった証拠でありましょう。

 さて、1910年代に確立された大衆娯楽小説が山ほど出てくるのがこの時代です。
 今では名も残らぬ読み捨て作品が粗製乱造されましたが、市井の人々に、伝奇的な物語は面白いものだ、娯楽的なものだという意識を、改めて植えつけた時代であったと思われます。下地を作ったとでも申しましょうか。

 伝記作品を書いていたのは名も無き小説家達だけではありません。
 一般には「文豪」であり、純文学作家と思われている芥川龍之介も、1920年前後には神経症的な伝奇作品を執筆しています。特に「邪宗門」(1922年)は、王朝を舞台に、聖母マリア信仰を広めようとする西洋の妖術師と藤原道長の息子である陰陽師の魔術的対決を描く伝奇ロマン。未完ながら、昭和に誕生した伝奇アクションの遥かな先達と言えましょう。
 芥川の伝奇的作品には「妖婆」「アグニの神」などがあり、その大半は、「芥川龍之介妖術伝奇集」に収録されています。

 他にも、佐藤春夫「病める薔薇」「月光異聞」、谷崎潤一郎の「魔術師」、室生犀星の「幻影の都市」……文壇の旗手たちが、揃いも揃って伝奇的な、怪異的な小説を発表しています。
 当時随一の盛り場であった浅草をテーマにした作品も多く、それらは探偵小説やモダニズム文学といった、都市幻想への先駆となりました。

 かように1920年代は、純文学作家が伝奇味濃厚な作品に手を染めた時代でありました。これも時代の空気でありましょうか。

 勿論、大衆娯楽方面の書き手も負けてはいません。1925年、国枝史郎は「神州纐纈城」を発表。破天荒とすらいえるイメージの奔流により、伝奇的作品の頂点に躍り出ました。近年にも、石川賢の手によって漫画化されています。

 この他、稲垣足穂「一千一秒物語」、江戸川乱歩「パノラマ島奇譚」「孤島の鬼」、白井喬二「東遊記」……枚挙に暇がありません。純文学、エンターテイメントといった区別が意味を成さないほどに、多数の幻想的/伝奇的な作品が登場しました。

 江戸伝奇文芸が欠いていた、西洋の黒魔術、東洋の謎めいた呪術という道具立てが広まったのもこの時代です。
 これにより、伝奇物語の道具立てはほぼ完全に出揃ったと言ってよいでしょう。


■1930年代/幻想ミステリの王国


 伝奇味濃厚なミステリが多数発表された時代です。
 伝奇とミステリというものは非常に相性がよく、現在に至るまで名作傑作に事欠きません。
 夢野久作「ドグラ・マグラ」、小栗虫太郎「黒死館殺人事件」は、この時代の伝奇ミステリの二大巨頭でありましょう。

 サスペンスと都市幻想を融合した名作「深夜の市長」もこの時代の産物です。
 伝説的雑誌「新青年」の黄金期も丁度この時期であり、猟奇的なモチーフをもった伝奇的なミステリやサスペンスが量産されています。

 今ではお馴染みすぎるくらいお馴染みの「吸血鬼」という存在が世間一般に知られたのもこの時代からでしょうか。ちなみに本邦初の吸血鬼小説は、1929年に発表された中川与一の「吸血鬼」です。
 イギリスの隠秘学研究者M・サマーズの著作を再構成した研究書、日夏耿之介「吸血妖魅考」が出版されたのが1931年。これにより、多くの人々が吸血鬼という概念を手に入れました。吸血鬼に関心がある方なら、今でも必読の資料です。
 日夏は「サバト恠異帖」などの著作によりオカルト的題材を日本に輸入した先駆者と言えます。江戸文芸西洋文学両面にわたる圧倒的な博識をもって知られており、現在に至るまで我々は日夏が切り開いた魔術的迷宮でうろうろしているとすら言えるかもしれません。伝奇や魔術などが好きと名乗るからには、日夏の著作には一度は触れねばならないと思います。

 なお、海外でも「コナン」シリーズのR・E・ハワードや、かのH・P・ラヴクラフトが活躍しておりました。洋の東西を問わず、伝奇と怪異の世界が活発化していたと言えましょう。


■1940~1950年代/戦争の暗い影


 1940年代は伝奇暗黒時代でした。
 不穏な世界情勢と国内情勢、太平洋戦争の開戦、敗戦から窮乏を極めた戦後と、日本全体が暗い雰囲気に覆われていたこの時代、目ぼしい伝奇作品は数えるほどしかありません。日常と非日常の境が曖昧になり、食うや食わずやの毎日では、絵空事にうつつをぬかす暇などなかったのでしょうか。

 軍部の統制が厳しくなっていた時勢では物語の幅も必然的に狭くなり、作家たちは秘境冒険もの、時代小説、民話を基にした小説などに活路を求めることとなります。
 秘境冒険ものの中でもとりわけ伝奇的な色彩の濃い、「魔境もの」と呼ばれたにおいては、海野十三、小栗虫太郎、久夫十蘭らが活躍。
 地底や海の果ての謎の王国で少年少女や探検家が荒唐無稽な活劇を繰り広げる――というのが主な筋立てであり、道具立ては伝奇的です。ただ、荒唐無稽に過ぎ、再三味読に耐えるとは残念ながら申せません。やっつけ仕事の感があります。

 一方で時代小説には特筆すべき作品がありました。横溝正史の「髑髏検校」です。ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」を換骨奪胎し、幕末を舞台とした伝奇時代劇。暴虐な魔王ドラキュラがいかにも日本的な湿気のある悪となり、原作でただただ怖いだけであったドラキュラの従者も、横溝一流の筆によって異様な艶のある美女たちへと変容しています。絶海の孤島という舞台装置とストーリーテリングの巧みさも相俟って、純粋な娯楽小説としては原作より優れていましょう。富士見・角川・講談社と各社から文庫により出版されていましたが、絶版なのが惜しまれます。

 そして日本は終戦を迎え、戦後、状況は一変します。

 1946年、横溝正史「本陣殺人事件」により、知らぬ人はない名探偵、金田一耕助が登場します。
 本陣殺人事件は、西洋本格ミステリに、我が国伝来の猟奇と怪奇、土俗的な恐怖と伝承を組み合わせた、実に伝奇的な作品でした。
 江戸文芸、江戸川乱歩と継承されてきた土俗的伝奇とも言える世界観は、横溝の手により新しい生を得、広く一般に普及します。
 その影響下に、高木彬光「刺青殺人事件」が誕生したのも重要です。高木は怪談や伝説を背景として用いることに長けており、「成吉思汗の秘密」などの伝奇ロマンも発表しています。戦後の伝奇を語る上で避けては通れない作家ですな。

 後年の推理小説ブームを支えた人材の多くもこの時代に登場しており、中でも山田風太郎は1958年に「甲賀忍法帖」を発表。史実と奔放な想像力を絶妙に組み合わせた作品群により、世に言う「忍法帖ブーム」を作り出しました。
 山田の忍法帖シリーズが、これ以後の伝奇アクションや時代伝奇に与えた影響については今更論じるまでもありますまい。端的な例で言えば、一般には菊地秀行が始祖と思われている「極細の糸を武器として使う」も山田作品が元です。山田風太郎がいなければ、日本伝奇の歴史は間違いなく変わっていたと思われます。

 戦時中に何があったのか、作風を一変させた作家も少なくありませんでした。
 それにより、自然主義文学の大御所、正宗白鳥が「お伽噺・日本脱出」という異世界を舞台にした伝奇ファンタジーを記しています。
 伝奇からは少々離れてしまいますが、少女小説の大御所だった吉屋信子がオカルト方面に傾斜したのも一例ですね。

 なお、この時代になると、私たちにも馴染み深い、伝奇の書き手たる方々が産まれてきています。1948年に笠井潔、1949年に菊地秀行、51年には夢枕獏と高橋源一郎。52年には村上龍と田中芳樹、54年には竹元健治に友成純一、56年に朝松健……中でも1947年は、荒俣宏、景山民夫、梶尾真治、金井美恵子、須永朝彦とまあ、凄まじい面子。
 新しい時代の到来を顕著にしめしていますね。

 この時代の作品は近年復刊が盛んであり入手が容易であるため、気になった方は大きな書店で探してみることをお勧めします。


■1960年代/異端の復権


 60年代は何故か、エンターテイメント的な伝奇物語は余り見ることが出来ません。この期間を特徴付けるのはむしろ、澁澤龍彦の音頭による、「異端文学」の復権でしょう。

 澁澤は1961年の「黒魔術の手帖」を皮切りに、戦争によって雌伏を余儀なくされていた文化の復権にかかります。
 日夏耿之介らのオカルトを代表に、シュールレアリスム、サディズムにエロティシズム、モダニズム、「新青年」が得意とした怪奇幻想文学……澁澤の尽力がなければ、これらの豊穣な文化は失われたままだったかもしれません。
 文学の美食者を自認していた澁澤だからこそ出来た一大事業だったと言えます。澁澤の諸著作が今もってオカルトや幻想文学、異端文化への最良の手引書であることからも、その量と質とが良く解ります。

 この復活運動が頂点を迎えるのは1960年代後半です。澁澤の手帖シリーズやアンソロジーの影響下に、桃源社は「世界異端の文学」と「大ロマン・シリーズ」を開始。

 前者ではユイスマンス「さかしま」、クロソウスキー「肉の影」、シェーアバルト「小遊星物語」など、翻訳もほとんどなく、等閑視されていた世界文学の数々を邦訳。70年代に荒俣宏により広がった、いわゆる「幻想文学」ブームの先駆となりました。現在でも翻訳が「世界異端の文学」にしか無い作品は多く、古書でも相応の値段がしたりします。

 伝奇的見地からみれば重要なのは後者でしょう。「大ロマン・シリーズ」が最初に復刻したのは、1920年代の箇所でも言及した「神州纐纈城」でした。これが各界の話題を呼び、埋もれていた伝奇的作品が改めて日の目を見ることとなるのです。

 1960年に「SFマガジン」が創刊されたのも大きな事件でした。
 これにより日本SFが本格的に始動。星新一、筒井康隆といった大物はこの時代に既に活躍を始めています。なお、筒井を発掘したのは江戸川乱歩です。流石の慧眼といえましょうか。
 SFの誕生により、既存の文学の枠にとどまらない物語の受け皿が出来上がりました。先ほどの述べた異端文学の復権とも相俟って、今まで等閑視されてきた種の物語を発表する場が整いつつあったのです。そこには当然伝奇物語も含まれました。

 そして、この時代のカウンター・カルチャーが1970年代に一般化・通俗化し、エンターテイメントとしての多様な伝奇物語を生み出すことになるのです。




 盛りだくさんの時代が続いたため、少々駆け足になってしまいました。
 今回はこのあたりといたします。
 次回に1970年代、半村良の登場から、2000年代、伝奇ゲームの隆盛までを概観して終わりといたしましょう。

投稿者: 日時: 19:32 | | コメント (0) | トラックバック (0)

伝奇ゲームファンのための日本伝奇入門(1)

●伝奇ゲームファンのための日本伝奇入門(1)


 2004年、伝奇活劇ビジュアルノベルを名乗るゲーム「Fate/stay night」が大人気を博したことは皆さんご記憶でしょう。
 ファンディスクである「Fate/hollow ataraxia」が今年中には出そうだというニュースを眺めてるうち、ふと日本における伝奇物語を眺めてみようと思いつきました。

 近年、伝奇と呼ばれるジャンルに属する作品が数多く見受けられるようになってきました。「伝奇●●ゲーム」「伝奇●●ノベル」といった表記も珍しくありません。
 そもそも「伝奇」とは何か。
 一体いかなる作品を指す言葉なのか。
 実際のところ、これを語るだけでそれこそ本を書ける奧行きがあります。そこに手間隙をかけていては本末転倒。そもそも私には不可能事です。

 この文章は「伝奇ゲームファンのための伝奇小史」ですので、厳密な定義ではなく「伝奇とはこんな作品だよ」位で話を進めていこうと思います。よって、ここでは「伝奇」を

・超常的な力を持つキャラクターが登場する(超能力、魔術、人ならぬ力など)
・非日常的な道具をガジェットとして使用する(日本古来の伝承、過剰に演出された舞台装置など)
・何らかの目的のために戦いが行われる(主にアクションだが、心理的な闘争も含む)


 といった要素を含む創作物語といたします。
 要するに、念頭に置いているのは伝奇アクションや伝奇ミステリ、あるいはその種の雰囲気をもった作品群ですな。
 伝奇を「神話や伝承、民話などをモチーフにした作品」とする説もありますが、これですといわゆる新伝綺を含有することが出来ません。なので上の要素からは除外しました
 曖昧な定義ですがお許しください。ニュアンスが解ってもらえれば十分ですので。

 では、本邦における伝奇の歴史をさらりと眺めてみます。
 前半においては文芸作品を中心に、後半においてはゲームも混ぜて幾つかのメディアを取り扱うことになるかと。

 なお、私は只の伝奇ファンですので、以下の文章には間違いや不適切な点があるかもしれません。その際はご指摘くださると幸いです。
 それと「何であの作品が入っていないんだゴルァ!」という方。扱う作品は独断と偏見で選んでいるので謝っておきます。御免なさい。
 また、文中は全て敬称略です。


■中世/竹取の翁といふものありけり


 ここはさらっと流していきます。

 小説が元をたどれば神話・伝説に行き着くのは万国共通であると思われます。
 我が国では神話を集成したのは、「古事記」「日本書紀」でありました。ここから「日本霊異記」を祖とする説話が誕生し、やがて説話は、作り物語を生み出します。
 この<作り物語>こそが、現在に至る多種多様な物語の根源であると申せましょう。伝奇物語の萌芽がそこに求められるのも当然であります。

 一般に、我が国初の<作り物語>は、「竹取物語」であると言われています。
 10世紀初頭に成立したこの物語は、異常出生、貴種流離譚、難題求婚譚といった口承伝承の要素を複合的に組み合わせ、さらに月世界との繋がりを付与した点に特色がありましょう。
 当時の文化や世相を考えると、これほどの物語が成立したのは一つの奇跡であるように思われます。
 一読すれば解るように伝奇的な要素(異世界の姫君や月から降臨する迎えの人々、かぐや姫が難題として出した伝説上の宝物など)も多いです。

 王朝時代は竹取物語の他にも幾つかの伝奇的物語が散見されますが、説話集としての性格が強いものが大半であり、断片的な印象が免れえません。

 中世に入ると、「太平記」「平家物語」などといった軍記ものが流行します。これらの軍記ものは、名だたる武将たちの超人的な活躍や滅ぼされた氏族の亡霊の出現、魑魅魍魎の跋扈など、単純にして明快な形で伝奇的要素を用いておりました。

 なお、現代作家が王朝や中世をモデルとして書いた伝奇物語も多いです。山田風太郎や花田清輝などが得意とした手法ですな。


■江戸伝奇/南総里見八犬伝


 江戸時代の物語はまさに百花繚乱、我々が想像する「伝奇」は、この時代に全て出揃っていると言っても過言ではありません。
 何といってもその長さは実に300年強。この長大な期間の伝奇を一望するなど、言うまでもなく不可能なことです。それこそ、専門の研究者による長大な著作が必要とされましょう。
 あくまで「伝奇ゲームファンのための伝奇入門」ですので、ここも軽く見るだけにいたしましょう。

 江戸文芸が形をとり始めたのは元禄の頃。
 それまで説話の聞き書きの域を出ないものでしたが、小説作品としての体裁を有するようになります。
 改革をもたらしたのが、井原西鶴と、浄瑠璃の近松門左衛門でした。
 ただ、西鶴が創始したのはあくまで町人文学であり、伝奇的な所は殆どありません。浮世草子と呼ばれるジャンルであり、「好色一代男」や「日本永代蔵」といった作品は皆さんご存知でしょう。
 一方で近松門左衛門は、一般に有名な世話物(「曽根崎心中」や「女殺油地獄」など)の他、伝奇味濃厚な、奇抜なイメージを持つ作品を表わしています。「用明天王職人鑑」に、目玉を飛ばす妖術師や蛇に変ずる女などがいるのが一例でしょう。

 江戸の中期になると、庶民を対象とした絵入りの物語が刊行されるようになりました。これらの物語を一般に、草双紙と呼びます。
 草双紙には子供のための教育的な「赤本」、浄瑠璃や英雄譚、化け物話などを扱う「黒本」「青本」、それに「黄表紙」がありました。
 延享年間の前後に出現した赤本、黒本、青本は子供騙しのようなものであり、語るほどのこともありません。草双紙が十分鑑賞に耐えるものとなるには、安永年間の「黄表紙」の登場を待たねばなりませんでした。

 黄表紙は滑稽味があり機知のきいた文章と浮世絵風の挿絵を組み合わせたものです。現代のコミック、あるいはイラストが多様されが娯楽小説と思えばほぼ間違いないです。
 ただし、伝奇味を感じる作品は散見されるものの、主流はあくまで世俗を描いたものでした。

 伝奇色の濃い作品が多く誕生するのは、江戸も末期、19世紀になってからです。この時代、草双紙数冊を一冊に綴じ、教訓的内容と伝奇色を濃くした「合巻」と呼ばれる物語が出現しました。同時に、「読本」と呼ばれた媒体も、長編を扱うように変化していきます。つまりは、物語の長編化が起こったのです。

 この時代の立役者が山東京伝です。
 元来黄表紙で活躍していましたが、やがて、長編化していた読本に挿絵の面白さ、合本による物語の快楽を付与し、江戸読者の興味をひきつけた人物です。
 ドグラ・マグラの元になったことでも知られる「桜姫全伝曙草紙」、「復讐奇談安積沼」、「昔話稲妻表紙」、(前者二つについては現代語訳あり)など、優れた伝奇物語を多数ものしています。
 山東京伝の特質の一つに、正確な考証に基づいた執筆姿勢があります。これは実のところ、それまでの文芸が全く欠いていたものでありまして、その意味でも伝奇物語の改革者といえましょう。

 江戸三百年を通じた伝奇物語の代表といえるのは、山東京伝最大のライバル、曲亭馬琴による「南総里見八犬伝」であると思われます。
 伏姫が魔犬八房の氣に感応することによって生まれた宿命の八犬士。仁義礼智忠信考悌の仁義八行を司る八犬士たちが数奇な運命を経て一同に介し、やがて主家にあたる里見家を盛りたて巨悪と対峙し、その末路までを描くこの作品。
 20年以上を執筆に費やしながら、破綻や矛盾を見せない計算され尽くした構成、今に至るまで多様な解釈を可能とする程巧妙に仕組まれた伏線、心ときめく友情愛情劇に、血沸き肉踊る大活劇。
 ここには、ありとあらゆる伝奇的要素が詰まっています。
 ゲーム・コミック・小説などで、八犬伝をモチーフにした作品が後を絶たないことからも、その影響力がわかります。
 江戸文芸の最高峰と言えましょう。

 一時は隆盛を極めた草双紙ですが、天保の改革後は作者に恵まれず、猟奇味や刺激を追及しただけのものと成り果てます。やがて、明治初期に新聞小説が出現することによって、その命脈は絶たれました。

 いずれにせよ、江戸伝奇物語は、馬琴、山東京伝という二人の天才をもって完成した感があります。
 彼らの作品は今もって再三味読に耐える由、古文にめげずに是非ご一読を。

 また、現在使われがちなガジェット――陰陽術、人ならぬ美女、人と人外の交流、剣戟などなど――は、既にしてこの時代に出揃っていることにも注意する必要があります。このことを考えれば、伝記作品における剽窃の議論など、ほぼ無意味ですな。

 なお、中世から江戸にかけての文芸史を一望するには、須永朝彦「日本幻想文学史」が便利です。


■1890~1910年代/遠野からの呼び声


 江戸時代が少し長くなりすぎました。ここから明治時代に入りましょう。
 さて、明治期に入ると、江戸後期の荒唐無稽な物語は一旦なりを潜めます。これには文明開化の影響が大であると思われます。過去を捨て、ただひたすら前に走ったこの時代には、江戸時代の遺産など古臭いだけのものだったのでしょうか。

 ただ、明治時代の初期には杉山蓋世「午睡の夢」のような荒唐無稽な伝奇的作品もありました。ナポレオンが諸葛孔明、豊臣秀吉と三つ巴の戦争を行うというトンデモ作品。消化不良ゆえに時代に埋没して行きましたが、このようなバイタリティ溢れる作品があったことを忘れてはなりますまい。

 それはさておき、いわゆる私小説の隆盛にはまだ少し間があるものの、純粋にエンターテイメントと呼べる作品もまた少ない時期です。
 伝奇という観点からは、幸田露伴、北村透谷といった面々が、古典的教養をもって幻想味の強い作品を発表していたのが目に付く程度でしょうか。

 そんな中一人気を吐いていたのが黒岩涙香です。
 西洋の作品の翻案を得意とし、「涙香調」と呼ばれた独自の文体は一世を風靡しました。レ・ミゼラブルの翻案「ああ無情」は有名ですね。
 「死美人」「幽霊塔」といった、ゴシック・ロマンスを思わせる重厚にして耽美的な世界は多くの読者を魅了しました。
 さすがに古臭さはあるものの、今でも十分読め、かつ楽しめるあたりはさすがでしょう。
 まとまった形での出版物に恵まれませんでしたが、本年度4月に「明治探偵冒険小説集 (1) 黒岩涙香集」が発売され、作品に触れることが容易になっています。

 明治も後半――1900年代に入ると、夏目漱石、森鴎外を筆頭とした「文豪」たちが続々と歴史の表舞台に現れてきます。
 これらの文豪にも幻想的、かつ伝奇的な作品はありますが、矢張り泉鏡花の活躍が特筆されましょう。
 一般にも名高い「高野聖」に始まり、水をテーマとした幻想譚「沼夫人」、鏡花の最高傑作とも言われる「草迷宮」、連作「春晝」「春晝後刻」といった幻想物語は、江戸の戯作を思わせる怪異と品格のある表現に満ちており、濃厚な伝奇味を醸し出しています。
 水滸伝を元とした長編「風流線」に至っては、世間から降りた哲学青年とその恋人である令嬢が、無縁の民と共に、大偽善者たる富豪に立ち向かうという一大伝奇ロマン。典型的なピカレスク・ロマンであり、ヒロインである龍子が禽獣の女王と化すなど、超自然的要素も満載です。構成には破綻がありますが、鏡花にしては文体も読みやすく、純粋なエンターテイメントとしても楽しめます。
 なお、鏡花の作品は、ちくま文庫「泉鏡花集成」で容易に入手できます。

 埋もれていた日本の伝承を流麗たる美文で復活させたラフカディオ・ハーンこと小泉八雲(代表作に「怪談・奇談」など)を経て、1910年には柳田国男によって「遠野物語」が編まれます。
 遠野物語そのものは伝奇作品とは言えません。文学的な装飾が施され、批判も多々あるものの、基本的には岩手県遠野に伝わる民話の集成です。
 しかし、後生への影響力は甚大なものがありました。
 遠野物語が描き出した土俗的怪異は文明開化の日本がすっかり忘れ去っていたものであります。それを発掘したのが明治の高級官僚たる柳田。各方面の衝撃度はかなりのものだったでしょう。

 日本の土俗的文化が伝奇物語のツールとして大々的に使われ始めたのは、この時期からではないかと思います。
 その典型例が1912年、中里介山の「大菩薩峠」でしょう。アンチ・ヒーロー机龍之介を主役としたこの一大伝奇時代小説により、近代大衆娯楽小説の世界が確立されるのです。

 余談ですが、山田風太郎は「明治シリーズ」において、この時代を扱った伝奇と歴史とミステリの融合した類の無い作品群を作り上げています。


 とりあえず今回はここまで。
 次回は1920年代からの伝奇を概観しましょう。

投稿者: 日時: 21:42 | | コメント (3) | トラックバック (0)

都市伝説

 都市伝説、というものがあります。
 フォークロア(民話)の一分野であり、「本当の話として広く語られている、数多くのいかにもありそうで思わず引き込まれてしまいそうな、それでいて大抵は虚構の、口述の物語」とされています。
 民俗学上の概念でしたが、一般に広まったのは、1981年、J・H・ブルヴァンによる「消えるヒッチハイカ――都市の想像力のアメリカ」が出版されてからですな。都市伝説研究の古典中の古典です。
 都市伝説を専門に扱うサイトも多く、この手の話題の中ではかなり人気があります。
 
 その都市伝説を自分たちで作って広めてしまおうという発想の元に作られたのが、2chオカルト板のスレッド「都市伝説を作って広めるスレ」(リンク先はまとめサイト)です。

 内容は玉石混淆ですが、中々「らしい」話もあって、読んでいるだけでかなり面白い。

公園デビュー
泉の広場
A子さん
カラス買取

 あたりは、いかにもありそうで良いですな。
 「泉の広場」は都市伝説スレ以外やオカルト系HPで見かけることもあり、一人歩きしているようです。
 まさに都市伝説が広まってしまったわけですね。


 余談ですが、2chへの書き込みが元となって広まったチェーンメールも実際にあります。
 以下のような都市伝説を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

 深夜、番組が終了して砂嵐が流れるだけのテレビ画面にたくさんの人名が映し出された。自分の名前があったので調べてみると、NHKが受信料未払い者を一覧にして流しているということだった。

 かなり有名な話であると思います。
 ところが実はこの話、「深夜のテロップ」と呼ばれる別のバージョンが存在しているのですね。
 以下のような話です。

15年くらい前夜中の2時30分頃テレビをつけたらカラーバーが映っていて(あたりまえですが)、ああ、やっぱりこの時間は放送やってないな、寝ようと ふと思ったその時急に画面が切り替わって ゴミ処理場が映し出されました。
そしてテロップに NNN臨時放送と出てひたすら処理場を遠景で映し続けるのです。
なんなのだろうと思って様子をうかがっていると人の名前がスタッフロールのようにせり上がってきて ナレーター?が抑揚のない声でそれを読み上げていきました。
バックには暗い感じのクラシックが流れだいたいそれが5分くらい続いたでしょうか、最後に
「明日の犠牲者はこの方々です、おやすみなさい。」と。
それ以来深夜放送が怖くてたまりません。
周りは誰もこの話を信じてくれないし……

 これ、投稿調の文体が示すように、2chへの書き込みが元のようなのですね。
 先の話ほどのポピュラリティは得られなかったものの、掲示板から掲示板へと伝播し、今でも思い出したように掲示板に乗っているのを見ることがあります。
 都市伝説を作って広めるスレのことも考えると、ネットからネットへ伝播する噂は、増加の一途を辿るのかもしれません。

 なお、「深夜のテロップ」に関してはディープ・ダンジョンさんが詳しい考察を展開されております。都市伝説に関する資料も充実しており、お勧め。

投稿者: 日時: 20:06 | | コメント (0) | トラックバック (0)

ちょろちょろと

 何やら書いております。


●今日の怪異的話題

■8/8~8/12「おもいッきりテレビ」内で、帰ってきた!あなたの知らない世界を放送(心霊番組情報スレより)

 みのもんたが夏休みのためということらしく。
 いやあ、楽しみだ。


クリオネの食事JSTバーチャル科学館

 改めてみるとモンスターにしか見えないなあ、この捕食光景。

投稿者: 日時: 20:21 | | コメント (0) | トラックバック (0)

奇妙な話

不可解な体験、謎な話~enigma~まとめサイト

 オカルト板のスレッド「不可解な体験、謎な話~enigma~」のまとめサイト。
 「ありえない場所、もう会えない人、今ではない時間、幼い頃の不思議な記憶、見えるはずのないもの。そんな、怖くはなくても奇妙な経験を書き込むスレッド」という趣旨のスレだけに、興味深い話が多数集められています。
 どうにもこうにも説明がつかない、語ったとてどうという反応も望めない、けれど心の片隅に何かひっかかるものがある、そんな話の集積。「新耳袋」「超怖い話」などの実話怪談本にもこの種の話は結構収録されていますね。

 説明しようと思えば説明出来る話も多いのでしょうが、決定的な解釈を頑なに拒む話が残るのもまた確か。そこがいい。

 まとめサイトに収録された話で個人的に興味を惹かれたのは以下の話。

トンネル
都庁のエレベーター
大男
奇妙な画像
人形

 「奇妙な画像」はお婆さんのオノマトペがかなり怖い。
 他にもいい話が山ほどあるので思わず読みふけってしまうですよ。

 あと現行スレの

13 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/06/14(火) 21:27:16 ID:HQS9ll/g0
不可思議でも謎でもなくて、かつ他板でも書いたような話でよろしければ・・・。

バイクで小川沿いの林道をトコトコ走っていたら、小川にちいさな丸太橋がかかっているのを発見、早速歩いて対岸に渡ってみることに。
そしたら対岸に渡りきる寸前の所で、サワガニがこっちを向いて

「ここは通さん」 V(・ω・)V

とばかりにツメを広げているのを発見。またぐのも失礼かな、と思い突ついてみたが退かない。その様子が妙に可愛いせいもあり、「まあ来るなと言ってるのだろう、今回はやめ」と引き返す事に。

「先に進んでいたら何かが起こっていたのだろう、きっと神様が止めたに違いない」


とはまったく思わない霊感ゼロな自分のちょっとした出来事でしたw

 にちょっと和んだ。

 近年、この種の話は「新耳袋」「あやかし通信」「文藝百物語」などに収められ、定着してきた印象があります。が、我が国では長い長い伝統がある話でもありまして。実際、古典軍記随筆などなど、多方面で奇妙な話は記されています。


●奇妙な話好きな方のために


 で、ここで、奇妙な話を扱ったの古典の一部を紹介。基本的に新刊で手に入り、読みやすいものを選んであります。

奇談」(須永朝彦/国書刊行会)

 古代から幕末までの説話集・歴史物語・軍記・随想から、「奇妙な体験」を厳選した奇談集。奇談の数々は流麗な文体で現代語訳されており、読みやすいです。原文の品格を保った訳は流石の一言。

耳袋〈1〉」(根岸鎮衛/平凡社ライブラリ)
耳袋〈2〉」(根岸鎮衛/平凡社ライブラリ)

 江戸後期の巷説奇聞を集めた随筆集。狐狸妖怪譚から庶民の風俗・犯罪までが収録されており、その幅は奇談や怪談のみに留まりません。
 根岸鎮衛は下級の出でありながら、最後は江戸南町奉行まで勤めた武士。「耳袋」に記された話を聞き書いた期間は30年間に及んでいます。
 奇譚に関する古典中の古典の一つです。

耳袋の怪」(根岸鎮衛・志村有弘/角川文庫ソフィア)

 上記の「耳袋」から怪異譚をピックアップし、現代語訳したもの。原文は収録されていませんが、手軽に「耳袋」の世界に触れるに最適です。

新編 百物語」(志村有弘/河出文庫)

 「今昔物語集」や「古今著聞集」といった古典から怖い話、奇妙な話を集めて現代語訳したもの。 「耳袋の怪」同様、手軽に古典の世界に触れることが出来ます。

夜窓鬼談」(石川鴻斎/春風社)

 古今の怪談奇談を集めた、明治時代の古典の現代語訳。長らく入手困難でしたが、近年新刊で発売されました。実に目出度い。
 澁澤龍彦が言及し、小泉八雲が底本にしたということから、その質は推して知るべし。良書です。

投稿者: 日時: 21:27 | | コメント (0) | トラックバック (0)

読書録「心霊写真 不思議をめぐる事件史」

 ふと思い立って日本伝奇について纏めたりしてます。
 こうやってみると1990年代後半あたりからは伝奇ゲームが凄い勢いで増えてるんだなあ。80年代の超伝奇バイレンスを継承すると言わんばかりだ。
 
 それはそうと、今日の読書録はこちら。


4796646884心霊写真 不思議をめぐる事件史
小池 壮彦

宝島社 2005-06-15
売り上げランキング : 5,410

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★★★★☆
(★1つで1点、☆が0.5点。5点満点です)

 怪奇探偵こと小池壮彦の手になる、我が国の心霊写真の通史。タイトルからすると心霊写真を掲載しただけの怪しげな本に思えますが、小池壮彦がそんな凡庸な書物を記すわけがありません。著者自らが言うとおり、類例の無い通史であり、資料的にも高い価値を持ちます。

 幕末日本に輸入されてきた写真は輸入直後は、魂が吸われるとして忌避されたものですが、明治維新の頃になると百を超える写真家が登場、人気役者のブロマイドにファンが殺到するという現象が見られます。
 この頃から既に、「住職の後ろに女の影」といったような、いわゆる「心霊写真」は存在していたようです。その多くは散逸しているものの、著者は明治時代の資料を丹念に掘り起こしてきています。
 この幕末~明治時代を起点とし、現在に至るまでに、「不思議な何かが映った写真」が、いわゆる「心霊写真」へと如何にして変化してきたか通観したのが本書です。

 「幽霊らしきものが映った写真」が「幽霊写真」へ、「幽霊写真」が「念写」の衝撃を経て、「心霊写真」へと変遷してゆく流れを丁寧に追っており、興味深い点が多々。
 中でも、刺激的なのが、元々「心霊」という言葉は人を超えた何者か――「神靈」であったということでしょうか。「心霊」が「神靈」を侵食してゆく過程には強い興味をそそられます。
 日本心霊写真史を彩った人々についても触れられており、かの出口王仁三郎福来友吉らも登場。

 かなり細かい分野まで突っ込んで調べており、そこかしこに興味深い知見が散見されます。工学博士にトンデモさんが多いのは、戦後の電気工学の後藤以紀(東京大学教授、心霊科学の普及に尽力)の影響によるとは全く知らなかった。

 特筆すべきは、徹底して一次資料に当たっていることでしょう。本文や巻末の参考文献を見ると、安易な伝聞に寄りかかって執筆したわけではないことが解り好感が持てます。明治時代の新聞なども一々調べているあたり、丁寧な仕事でありますな。こういうのが一番大事なんです。

 また、只の通史に留まらず、終章、補章では直感的なきらいがありながらも鋭い考察を展開しています。
 特に、

もはや私たちは、一定のフレームの外にあるものはおろか、さらにその外にあるものしか信用しなくなっている。言いかえると、そのような条件を備えている情報ならば、うっかり信用してしまうかもしれない。すなわち、既成の枠組みの外の外にあるものを、誰かが確信犯的に捏造すれば、それはすみやかに「事実」になりかねない。

 という指摘は重く受け止めるべきでしょう。

 元が新書ということもありややボリューム不足ですが、日本心霊写真史に残る著作です。オカルト好きのみならず、一読の価値あり。

投稿者: 日時: 16:06 | | コメント (0) | トラックバック (0)

色々と

 取りあえず片付きました。これでしばらくは物凄い自由です。
 
 それはともかく、「当サイトについて」を改訂いたしました。
 読んでいただければお分かりかと思いますが、「魚石庵」は、改めて怪異と伝奇をメインに据えて頑張って参ります。今後ともよろしくお願いいたします。


●今日の怪異的話題


なんとなく不思議な写真特集エルエル

 いわゆる奇形の写真やら俗に言う心霊写真やら。人によっては少々ショッキングかもしれませんな。
 捏造説もありますが、なかなか衝撃的なのがこの写真。本物かどうかはともかくとして、夜中に一人で見たのでちょっと背筋が寒くなった。

 なお、人体発火現象はこの写真に関する限りほぼネタが割れています。焼け残った足の持ち主は医師であるJ・アービング・ベントリー老。享年92歳。
 ベントリー老はパイプを愛用しており、衣服に火のついた灰を落とすことがしばしばあったそうです。「人体発火」で死亡した時も、寝室の敷物にはパイプの灰による燃え跡が残っていました。
 ベントリー老が歩行補助機を常用するほど足腰が弱っていたことを考えれば、衣服(発火時はローブを着ていたようです)に火のついた灰がおちて燃え上がればどうなるかは、火を見るよりも(文字通りに!)明らかでしょう。
 なお、頭蓋骨も燃え尽きていたとしばしば言われますが、実際は現場検証の時に頭蓋骨が発見されています。


●今後の怪異と伝奇の本


発売中:「鳥山石燕 画図百鬼夜行全画集

 あの「画図百鬼夜行」がお求め安い文庫になって登場。妖怪ファン必携。


7/22:湯本豪一 「日本幻獣図説

 著者は名著「明治妖怪新聞」のお人。水虎やら鬼やら件やら、謎の生物たちの実態を豊富な資料に基づいて明らかにする。


7月予定:横山茂雄・石堂藍監修「世界文学あらすじ大辞典

 名うてのファンタジスト二人によるあらすじ辞典。しかしこれ、普通の「あらすじ大辞典」になるのか?


8/5:東雅夫編 「妖怪文藝 巻之壱 モノノケ大合戦」

 日本妖怪文藝の諸作品を網羅したアンソロジーの第一弾。当然のように京極夏彦も参加。石川鴻斎などの古典もあるので好きな方は要チェック


8/12:柴田宵曲「妖異博物館」「続妖異博物館」

 奇譚隨筆の決定版。江戸時代の随筆・紀行等から、全国各地の怪異譚を採集分類しており資料的価値も高い。

投稿者: 日時: 22:21 | | コメント (0) | トラックバック (0)

一週間ほど

お休みを頂きます。
ネタは溜め込んだり構想したりしていますので。

投稿者: 日時: 18:47 | | コメント (0) | トラックバック (0)

今日は

 大吟釀飲んで酔っ払いまくりなので倒れてます。
 やっぱり酒は焼酎か日本酒に限る。あとウォッカ。

●今日の覚悟のススメ

【コレクト600】覚悟のススメ

 強化外骨格勢揃い。これは欲しい。
 しかし、出来ておる喃。

投稿者: 日時: 19:40 | | コメント (0) | トラックバック (0)

簡易辞書

 昨日感想書いたのついでにあやかしびと辞書簡易版を作成してみました。MS-IME用、テキスト形式です。
 簡易版なのでそこまで充実してはいませんが、文章書いたり完全版の辞書作る叩き台にするなどには使えるかと。
 見直しはしましたが、「これが足りない」「ここ間違ってる」などありましたらご指摘いただけると幸いです。


今日の東方

セリオとさんぽさんのパチュリー絵が素晴らしい(絵日記内7/1)

 大きいことはいいことだ……ということでしょう。
 しかしたゆんたゆんのパチェがこんなに良いとは思わなんだ。

今日の私のメモリアル

ときメモオンライン、キャラメイクお試し版公開Sphere#4

 お試しなのでバリエーションはあまりありませんが、結構楽しめます。
 とりあえず

 お嬢様風を作ってみた。
 趣味丸出しとか言うの禁止。
 うーん、しかしこういうのがありますとプレイしたくなってみますな。加納とか喜んでやりそうだ。

投稿者: 日時: 16:12 | | コメント (0) | トラックバック (0)

ゲーム録「あやかしびと」

 本日の更新分は「あやかしびと」のネタバレが強くあります。未プレイ/プレイ中の方はご注意ください。







「あやかしびと」
(リンク先はpropellerのトップページ)


 コンプはしていたのですが、まだ感想など書いてませんでした。
 なのでつらつらと雑感を。
 結論から言いますと、非常に優れたエンターテイメントです。2005年度上半期エロゲでは個人的にベスト1。
 この作品を優れたエンターテイメントにしている要因は無数にありますが、特に際立っているのがキャラクターの魅力、個々のシーン演出の上手さ、そして優れた構造でしょう。


 まずはキャラクターの魅力。
 主人公・如月双七のいい男ぶりが際立ちます。
 涙もろく、情と信と義とに篤く、完璧超人とは程遠いが己に出来る最大限のことをやってのけ、最終的には困難を突破してみせるという、実に正しいヒーロー。
 受け手が期待するキャラクター像を作り上げたうえで、魅力を付加。危機に陥っても、安易な奇跡によって助かったりなどしない所がさらに好感度アップ。
 女性キャラもヒロインとして以前に、一人のキャラクターとして魅力的。特に、完璧と見えて実はパニックキャラの刀子さん、心の底に深い暖かさを秘めたトーニャが実によかった。締めるべきシーンをしっかり締めてくれるのは言うまでもありません。
 名手・中央東口氏のソリッドな絵の寄与するところも大でしょう。男やクリーチャーを描かせたら業界1と名高い氏ですが、本作では女性キャラの描写も高い水準にあります。


 映える舞台装置あってこそのキャラクター。この点も手は抜かれていません。
 平穏な日常は昼間の学園、自宅のマンションで展開され、アクション的状況は、夜の学園、工場に廃港、そして街の外で行われる。舞台分割をしっかりと行うことによって、シーン一つ一つに集中出来ます。
 主要な舞台となる神沢市の基本設定はありきたりですが(特異な能力者のための隔離都市というのは、定番中の定番ですな)、癖が無くとっつきやすいものとして機能しています。
 実際、あまりに街の特異性を強調してしまうと、主役が都市そのものになる危険があります。この方向性は正解でしょう。


 構造の秀逸さについて。
 「あやかしびと」のシナリオ構造は、映画とノベルゲームを上手く融合しているように思われます。
 D・ヒックスは「ハリウッド脚本術」において、ストーリー構成要素として以下の要素を上げています。
 各部分の詳細については「ハリウッド脚本術」か、「キャラクター小説の作り方」をご覧ください(後者には大塚英志の私見がかなり入ってしまっているため、前者をお勧めいたします)。

1:バックストーリー
2:内的な欲求
3:キッカケとなる事件
4:外的な目的
5:準備
6:対立(敵対者)
7:自分をハッキリとさせること
8:オブセッション
9:闘争
10:解決

 「あやかしびと」は、上記十要素を確実に備えています。
 物語ならば何でもそうだろうと思うなかれ。これらの要素をバランス良く配置した作品は意外なほど少ないものです。綿密な設計と、確かなプロット構築能力が要求されるわけですから。
 この辺り、筋金入りの映画好きとして知られる東出さんならではでしょうか。
 映画的に安定した構造を持つことにより、「あやかしびと」は揺らぎの無い、ユーザーを安心させる構成の物語となっているように思われます。良い意味で癖や破綻が無い構成というのは、エロゲーというジャンルでは貴重でしょう。本作の質の高さを担う一旦はここにあると思われます。

 ノベルゲームとしての魅力が発揮されているのは、BGMの使い方の妙と、軽快な会話の数々です。
 特に後者は絶妙でありまして、東出節とでも言うべき魅力的なものになっています。緊迫感に満ちているかと思えば、かけ合いのようなトークに転じたり、ユーザーを飽きさせません。燃え、萌え、笑い、泣きの四要素、全てにおいて高水準。
 小ネタも多く、セーブした時のシーンタイトルにも注目。「一緒に帰って噂とかされると恥ずかしい」と「注:ここは戦場です」にはセーブした瞬間大笑いした。
 かような会話を用いての日常描写に多くの尺を取ったことにより、ノベルゲー特有の心地好い没入感があります。小説においては日常描写が多すぎるとダレてしまうものですが(そちらが主眼の作品は除きます)、ゲームという媒体はBGMやグラフィックを使用可能。故に、ダレにくいです。
 穏やかな日々を丁寧に描くことによって、後のバトルシーンなどが際立つのでしょう。


 最も、残念な点がなかったわけではありません。
 どのシナリオでも終盤の展開が唐突な感がありましたのが少々気になりました。
 特にトーニャルートでそれが顕著。トーニャvsサーシャの決着には気が抜けてしまった感もあります。
 すずルートラストに関しては賛否両論でしょうか。私は楽しみましたが、かなりの急展開なので人によっては拒絶反応を起しても無理ないと思います。

 つらつらと書いてきましたが、文句なしにお勧め出来る作品でした。
 伝奇好き、学園もの好き、エンターテイメント好きといった方々ならば、購入して決して損はありません。年間ベスト級です。
 次回作も楽しみだなあ。


 ……しかし↑な書き方しておいて、まるっきり的外れなことばっかりだったらどうしよう。まあ、そうでしたら腹かっ裁いてお詫びする方向で。


 最後にお気に入りのキャラとシーンを。

・お気に入りキャラベスト3

 虎太郎先生:男の中の男。頼りになるアニキ。薫さんルートでは、ほとんど主役ですな。零奈のベタ惚れぶりにも笑った。
 会長:いやもう、何というか、強すぎます……心が。惚れました。
 光念兄弟:只のかませ犬やチンピラでなく、信念を有する熱い敵キャラ二人。特に一兵衛さんの言動にはたまらんものが。

 ……あれ、全部男キャラ? いや、それだけ魅力的だったのですが。
 実際全キャラ素晴らしすぎました。上にも書きましたが、殆どのキャラに見せ場がある辺りは本当良いですね。トーニャルートでの狩人とかたまらんかった。
 あと静珠さんの美人っぷりにハァハァ。ある意味一番好きかも。


・お気に入りシーンベスト3

 ドミニオン追撃:七人ミサキ~刀子さん煙突ダイビングが最高すぎますよ。影絵で疾走する演出も良かった。全シナリオで一番煮えたぎったシーンかもしれない。燃え泣き。
 チェルノボグ迎撃:夜の後者で、一点集中型の主人公チームvs平均的に強力な特殊部隊というシチュエーションだけでもう満腹。Phantom第三章へのオマージュとかいう話も聞きましたなあ。
 刀子さんルートクライマックス:か、会長ぉぉぉぉぉ!!(ボロ泣き)

投稿者: 日時: 22:04 | | コメント (0) | トラックバック (0)

読書録「スラムオンライン」

スラムオンライン
スラムオンライン
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桜坂 洋 toi8
早川書房 (2005/06/09)
売り上げランキング: 2,949


★★★
(★が1点、☆が0.5点。5点満点です)


<あらすじ>


 坂上悦郎は漫然とした日々を送る大学生。彼はオンライン対戦格闘ゲーム<バーサス・タウン>のカラテ使い・テツオでもあった。アキオは格闘大会の優勝候補に上げられるほどの強豪であり、それは同時に悦郎が現実のかなりのリソースを<バーサス・タウン>に注いでいることを意味する。
 薄皮の張ったような現実。何となく通っていた大学で知合った布美子との仲は進展せず、<バーサス・タウン>では辻最強とされるジャックの探索に明け暮れていた。その中で出会ったのは、<バーサス・タウン>ではハシモトという奇妙な忍者、現実ではルイという矢張り奇妙な少女。
 リアルとバーチャルの行き来を繰り返す悦郎は、ついに辻斬りジャックと対峙する。


 うーん、読んでいる途中も読後も、違和感を抱き通しでした。
 あとがきには

「ゲームをやって育ってきたオレたち」は、ネットに繋がったいまのバーチャル世界でもバーチャルな人格の萌芽をちゃんと持っている。そして、リアルな自分への違和感、漂泊感みたいなものを感じている。
そんな、言葉で説明しづらい感覚みたいなのを物語として書いてみようかと思った。

 とありますが、その「感覚」を私は既に有しなくなってしまったようです。

 どこか間延びした主人公の生活も、冷たくも熱くも無い、生温い思考感覚も、何もかもが微妙に感じてしまう。行動にも思考にも殆ど共感出来ない、かといって反発を感じるでもないという感覚は久しぶり。
 いや、桜坂洋はかなり腕の良い作家なので、そういう反応も読み込んで書いているのかもしれませんが。

 作品の試みは面白く、バーチャルとリアルの双方をたゆたうあの微妙な感覚をしっかりと言語化している辺りは流石です。
 おそらく、高校生の頃や大学入学初期の頃、数年前までなら色々と強く共感するところもあったでしょう。そういう意味ではこの作品、正しく青春小説なのかもしれません。
 絶対お勧め、と言う事は私には出来ませんが、ゲーム機、PCゲーム、オンラインゲームを友として育った世代の方には、一読の価値はあるかと思います。

投稿者: 日時: 21:26 | | コメント (0) | トラックバック (0)

買わねば

 何時の間にか「馬込の家 室生犀星断章」が出てました(情報元:プヒプヒ日記様)。
 普及版は3,200円と充分手の届くお値段。流石に限定版は少々辛いですが。
 しかし本が3,000円を超えると高いって声は良く聞くんですよね。CDアルバム一枚分だと考えれば安いもんだと思いますが。
 何はともあれ注文しておかねば。


●今後の要チェック


薔薇の名前 特別版
薔薇の名前 特別版
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ワーナー・ホーム・ビデオ (2005/07/29)
売り上げランキング: 1,414


 WMV1500円キャンペーンに「薔薇の名前」が初登場の模様。あの名作がこの値段なら買いでしょう。


妖異博物館
続 妖異博物館

 澁澤龍彦が「東西不思議物語」でも言及している名奇譚集「妖異博物館」がちくまにて文庫化の模様。
 これは買いです。絶対買いです。奇譚集でも屈指の名著にも関らず入手が困難だったからなあ……
 しかし中公文庫からは妖怪研究書が続々復刊、小学館からは東雅夫殿下による妖怪アンソロジー、創玄からは日本怪奇小説傑作集刊行と、ここのところ素晴らしい企画が続々と出てきています。
 いやあ、素直に嬉しい。入手可能なうちに手に入れておかないとなあ。


●WEB拍手レス

>大阪城会談の後のシーンですね。道々の者も隆慶には欠かせないかと

 おお、どなたかは存じませんが鋭い。はい、六郎と左近のあの会話が元になってます。あれは名シーンでした……

>ヤスさんの作品やテーマの傾向に文体が私的に多く見られ、中々興味深く楽しませて頂いてます。
>個人的には夢野久作や物集高音あたりも宜しいかと

 久作は素晴らしいですね。後年の作になるほどスタイルが研ぎ澄まされており、作品によっては背筋に寒気すら覚えます。スタイリストとしては久夫十蘭も欠かせますまい。
 物集高音は実はまだ読んでいないのです……気になってはいるのですが。次本屋に寄ったら探してみます。

投稿者: 日時: 21:48 | | コメント (0) | トラックバック (0)

文体模写

 文体模写スレッドを読んでいたらふと思いついたので書いてみた。
 ちなみに文体模写スレッドは2ch史上屈指の名スレッドなので知らない方は必読です。


・原文


 ある朝、グレゴール・ザムザが不安な夢からふと覚めてみると、ベッドの中で自分の姿が一匹の、とてつもなく大きな毒虫に変わってしまっているのに気がついた。固い甲殻の背中を下にして、仰向けになっていて、ちょっとばかり頭をもたげると、まるくふくらんだ、褐色の、弓形の固い節で分け目をいれられた腹部が見えた。


・隆慶一郎仕様


 グレゴール・ザムザが目を覚ますと、体が毒虫となっていた。
 ザムザは短躯だった。胴長で足が短い。腹部には分け目が入っていてまるく膨らんでいる。滑稽といえる姿である。
 それでも身を横たえれば堂々として見えるのは、毒虫としての貫祿といえようか。
 ザムザは自分がこのくらいの変化でどうなるものではないと知っている。確かに変事には違いないが、ザムザの頑健な体と鋭い頭脳は充分に、今まで以上の働きを見せるはずである。
 ザムザの不安はその後にあった。いかに優れた男でも、いや、優れた男であればあるほど、身体を失った痛手は大きい。それは今まで積み上げてきた、あらゆる技術の崩壊を意味する。すぐれた男ほど、その落差に絶望するはずである。
 だがグレーゴル・ザムザは『いくさ人』である。
 『いくさ人』とは例外なく優れた現実主義者である。そうでなければ、戦国の世で生き残り名を上げるなど出来るはずも無かろう。
 ザムザが触手を叩いた。人を呼ぶためである。
「何か……?」
 妹が尋ねた。
「腹が減った」
 妹が目を瞠った。およそ場違いな発言に聞こえたのだ。

 ……中々難かしいなあ。文体に特徴ある作家でやると面白くはあるのですが。
 とりあえず隆慶一郎仕様の場合、「戦国「武将」「いくさ人」「~である」は欠かせないのはよく解った。


●今日の科学

幻のハゼ35年ぶりに確認

 おお、これは実に目出度い。
 洞窟ではなく海中で発見されたようですし、群れでの生存が期待できそうです。いや、良かった良かった。

コガラは警戒音で捕食者のサイズも伝達

 アメリカコガラは警戒音を組み合わせることで予想より遙かに多様なメッセージを伝えることが出来ている模様。
 正直

>近づく捕食者の種類に応じて長さや特徴の異なるchick-a-dee警戒音が数種類発せられているという

 とまで可能だとは思いませんでした。
 まだまだ謎が多いな、動物の行動。


●WEB拍手レス

>後編読みまして。大好きです

 有難う御座います。次のも構想していますので、よろしければそちらもお読みいただけると幸いです。

投稿者: 日時: 21:30 | | コメント (0) | トラックバック (0)

代理としてのBookBaton

 小太刀からコミックバトンが回ってきたのですが、漫画を数えるほどしか読まない私には解答が困難。故に、Book Batonでお茶を濁すことに致します。


◆Book Baton


■持っている本の冊数
 引越しで大分処分してしまったので、それほど無いです。500冊くらいじゃないかな。


■今読みかけの本 or 読もうと思っている本
 小池壮彦「幽霊物件案内」。
 ブックオフで見かけたので即時購入。
 新耳袋や超怖い話と並び、実話怪談復興を担った一冊。著者の冷めた筆致が実にいい味。好みです。


■最後に買った本(既読、未読問わず)
 ピーター・バーク「知識の社会史」。
 ヨーロッパにおける、15世紀から17世紀にかけての知識の変容を詳細に追った労作。職能人の技術と知識人の知識、即ち、技芸と学問的知識を別種のものとして捉えていないのが特徴的。
 大変な労作で読む価値は十二分にありますが、かなりガチな研究書なので敷居が少し高いかも。


■特別な思い入れのある本、心に残っている本5冊(まで)
 ジャンル不問で。

(1)京極夏彦「絡新婦の理

 作品の完成度では「魍魎の匣」でしょうが、思い入れならこれ。
 縱横に織り成された糸が紡ぎ出す、精緻な心理劇。
 寂れた漁村、謎めいた館に住まう四姉妹、世間から隔絶された宗教学園と、道具立ても色々な意味で完璧。というか道具立てだけだとそのまんまエロゲになるな。
 京極夏彦の作品は、小説という媒体でなければ書けない物語だと読む度に思う。

(2)J・フーパー、D・テレシー「3ポンドの宇宙・脳と心の迷路

 脳科学書の古典。高校の時読んで物凄い衝撃を受けた。
 今でこそ氾濫している脳科学関連書籍ですが、この本が出版された時代には、これほど質の高いものは稀でした。
 書かれた時代が古いので、情報・知見共に時代遅れになっている側面が多いですが、丹念な取材に基づいた科学者像は読む価値あり。

(3)H・P・ラヴクラフト「ラヴクラフト全集

 個人的な原点。中学一年の時、第一集を読んだ時から全てが始まった。
 しかし、HPLやクトゥルフ関連の作品は本当増えましたな。すっかり市民権を得た感もありますが、ラヴクラフトもまさか自分の書いた魔導書がツンデレ美少女になるとは思ってなかったろうなあ。

(4)ホルヘ・ルイス・ボルヘス「幻獣辞典

 古今東西(といっても矢張り西洋中心)の空想上の生物を集め記した辞典。
 ロードス島戦記を愛読していた小学六年の時だかに読んで物凄い衝撃を受けた思い出がある。
 これとラヴクラフトが両輪となり、以後の読書傾向が形作られてゆくわけです。

(5)泉鏡花「夜叉ヶ池・天守物語

 日本語の美しさに度肝を抜かれた戯曲。天守閣から朝露を餌に秋草を釣る情景が素晴らしく印象的。殆ど神品と云っても宜敷い一作。
 鏡花の諸作品は日本の宝です。


■次にまわす人5人まで
 いわゆる「6次の隔たり」(「弱い関係線で結ばれているとしても、6次まで辿れば全部の人が繋がっている」という理論)に従えば、私が回すまでもなく大抵のサイトにはバトンが辿り着いているはずです。故にここで打ち止め。

●今日のCG

deviantArt

 Coolierさんの東方お絵かき板でもお馴染み、ChaoticUnknown氏のサイト。カリフォルニア在住の18歳の模様。
 とにかく、どの絵も質が高く美麗です。着色されるとなおさら素敵。東方の他にもローゼンメイデン、fateなど充実。銀さまが素晴らしい。


●WEB拍手レス

>妖忌参上……いやはや良い物を魅せて頂きました。
>文体自身の妙味もさることながら、妖忌らの心理描写は胸に響く物がありました。

 有難う御座います。お楽しみ頂けたならば幸いです。
 今回は後半急ぎすぎた感があるので、そのうちリトライしたいなあ。

投稿者: 日時: 16:21 | | コメント (0) | トラックバック (0)