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娼婦と並ぶ世界最古の職業、傭兵。古代オリエントから存在したという傭兵の歴史について概括した書……と思えますが、タイトルに偽りありです。
最初の二章で、ギリシャはアテネ・スパルタ戦争における傭兵の姿と、前三世紀から五世紀におけるローマ崩壊時代の傭兵について概観した後は、ヨーロッパの傭兵――特に傭兵騎士団についての記述に傾斜していきます。
実際、第三章から第十一章まで、内容の大半は中世(“中世”ってのも曖昧すぎる概念なのですがご容赦を)に活躍した傭兵たちについての記述で占められています。アジア圈の傭兵への言及は皆無に近いですし、現代の傭兵についてもお茶を濁す程度。
とはいえ、羊頭狗肉といった類の書でもありません。観光という資源を得るまではスイスの主要収入源だった傭兵部隊。そしてスイス傭兵部隊最大のライバル、ランツクネヒト。ランツクネヒトこそが本書の主役でしょう。
生きるために戦争を必要とし、戦乱を求め国から国へと渡り歩き、時代によっては策謀を巡らし戦乱を引き伸ばした彼らの姿は実に鮮烈です。マギスターの学位を有していた異色のインテリ傭兵隊長、セバスチャン・シェリトンなど、強烈な個性を持った人物たちの記述も魅力的。
これみよがしに「自由」を強調したランツクネヒトの裝束を、日本の婆裟羅に例えた部分など、興味をひく記述も散見されます。
自由を標榜し、騎士団を気取り、悪辣非道な存在としてヨーロッパを節儉したランツクネヒト。彼ら「自由戦士」が、やがて「国家戦士」へと変貌してゆく姿には歴史の無情を感じずにはいられません。
成程、彼らの自由や正義とは、表面的で言葉の上だけのものでありました。そもそもからして、甘言によって集められた素人が大半。隊長クラスはともかく、末端兵士は食うや食わずや、明日をも知れぬ中で刹那的な生き方をしていたようです。
そのうえ、戦争があればそこに駆け付け、国庫から吸い上げるだけ吸い上げ、無辜の民から文字通り根刮ぎ奪い去るという集団。ペストと並び比される程に忌まれたのも故が無いことではありますまい。
要するに、ランツクネヒトとは、自由なる戦士、誇り高い騎士団などといった存在から一番縁遠い所にいたのでしょう。
しかしそれだからこそ、「自由」という幻想を抱き続け、やがて崩壊してゆくランツクネヒトの姿には悲壮さと、ある種の美しさを感じます。所詮は感傷に過ぎますまいが。
とまれ、ヨーロッパ史のある程度の知識と興味があれば、なかなか楽しめる本ではないでしょうか。特にランツクネヒトについては手軽に手に入る資料がなかなか無かっただけに助かります。
●今日の祝復活
お帰りなさい。
それとご無理なさらず。いやまあ、そうも言っていられぬ状況なのでしょうが。
ゲーム作るってのは大変なんだなあ。
●WEB拍手レス
>遅馳せながら、祝・復帰おめでとうございます。コメント不能だったのはエラー起きてましたか(笑)
有難う御座いますー。コメントについては、mt.cfgの設定ミスでした。ドメイン変更したらそりゃあれも変えないとダメだよなあ。うっかりしてました。
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